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初恋のあの人。







ちょっとだ。
ほんのちょっと目を離しただけなのに………。



「おまえ誰だ?」



さっきまで手をつないで仲良く歩いていたエースは跡形もなく消え去り、目の前には何やらエースのような面影が残るガキが一人。



「つーかてめぇ何勝手に手ぇつないでんだ!気持ち悪ィな!」



エースと繋いでいたはずの手は今何故かこのガキと繋がっていて、それに気付いた瞬間にこのガキは私の手を思いっきり振りほどいた。



頭が痛い。
一瞬現実逃避しそうになったけど、たぶんきっと、この状況はアレだ。
この目つきの悪いくせっ毛のそばかす。
たぶん、コイツが私の恋人だ…。ただし、見た目がガキになって、私の知ってるエースよりも口が数倍悪い。そしてさっきの態度から察するに記憶もたぶんこの歳までの記憶しかない。



「………アンタ、名前は?」
「てめーに教える名前はねぇよ」



万が一違ったらなんて淡い期待もあったけど、これがエースじゃないってのなら、こいつはきっとエースの隠し子だ。そのくらい似ている。

ぷい、と拒絶を表した可愛くないクソガキ。ホント頭が痛い。
あの人懐っこいエースがこんなクソガキ?ありえない。うーん、やっぱり隠し子だろうか。



「………あのさ。」
「なんだよ」
「アンタがエースだったら困るから一応聞くけど、アンタエースじゃないわよね?」
「なんだ。おれのこと知ってんじゃねぇか」
「即答か!少しは否定しろよホント現実逃避も出来やしねぇ!」
「何言ってんだ?おまえバカか?」
「くそむかつく!」



やっぱりこのガキはエースだったようで、何が起こっても驚かないグランドラインだけど、流石にこれはめんどくさい。はぁ、と溜息が漏れた。



「あんたもー、ほんと何したのよ…」
「はぁ?なに急に怒ってんだよ?」



溜息混じりにじろりとした視線を向けて苛立ちを隠さずにそういえば、チビエースも不機嫌を隠さずにそれに答えた。



「ホントマジありえないんだけど!目を離したの数秒だよ!?」
「何の話だよ!」
「あんたまさか拾い食いでもしたんじゃないでしょうね!?」
「あ、さっき美味そうな食いもん拾って食ったぞ。不味かったけど」
「それだよこのアホーーー!!!」



いい歳した大人が仮にも彼女の前で拾い食いなんかしてんじゃねー!!
このめんどくさい状況を作り出した張本人の呑気な顔にイラッとして私は容赦なくチビエースの頭に拳を振りおろした。



「……ってぇぇぇ………!!」



ぐおぉぉ、と、頭を抱えて蹲るチビエースを見て少しだけ胸がすっとする。ちょっと大人気ないけどエースがまいた種なんだから当たり前の制裁だ。

フフンと苦しむチビエースを見て気分をよくした私は、これからどうするかを考えた。だけどすぐにそれは復活したこのクソガキに阻まれることとなる。



「いってぇな!何すんだよ、このクソババア!」
「………エースくん今なんて?」
「てめぇなんてクソババアで十分だ。この凶暴女」
「ちょっとその呼び方はいただけないなぁ?」
「いっ、ででででででッッッ!!!」



笑顔でエースのほっぺたをつねり上げる。
一定の高さまで来てからそれをバチンと離した。



「いってぇな!暴力ババア!!」
「んな、!だがら!…ババアじゃありません!」
「うるせぇ!」
「ってか仮にも好きな子に向かってそれはないんじゃない!?」
「はぁぁぁ!??誰がてめぇみてぇな暴力ババア好きになるかよ」
「また言ったなー!!?ほんとむかつく!……あーもう………ま、どーせ大きくなったらアンタは私を好きになるのよ」
「なるかっ!大体おれが好きなのはマキ………………」
「え、?」
「……………なんでもねぇ」



さっきまでの勢いが無くなってそっぽを向いたチビエース。横から見える頬は心なしか赤くなっていた。


エースがちっちゃくなった?いやいやそんなの、たいした問題じゃないよ。


つまり、えーと。



……………マキって誰よ…?













((やっぱりモヤモヤする。でもエース、ちっちゃくなった時のこと覚えてないんだよね…))
(おーミア!ん?なんか元気ねーな?)
((うーんやっぱスッキリしたいし聞いとこう)ねぇエース)
(ん?どした?)
(………マキって誰?(真剣))
(は?誰だそれ?(ぽかん))
((はぁぁぁぁ!??しらばっくれてんじゃないわよー!!(モヤモヤモヤ)))







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