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セクハラどころの騒ぎじゃない。





先の戦闘では上手く出し抜かれて捕まえることができなかった。
海軍を馬鹿にするようなあの行動に、あのなんでも見透かしたようなむかつく笑み。



「今度こそ、絶対捕まえてやる!!」



そいつがいるという情報を掴んだ島の中心街。怒りを隠すこともなく、見回り兼ねて私はずんずんと歩を進めていた。



「情報はあるのよ。絶対、この街にいるはず…」



そう思ってギラギラと目を光らせていたら、見覚えのあるツナギが見えて、全身の毛穴が開く感じがした。
もちろん全速力で追っかけた。
だけど、



「っっだああぁぁぁ!!!」



あと少しのところで逃げられてしまって、悔しさをそのまま海に向かって叫んだ。周りには誰もいないし丁度いい。
島の端っこまで全速力で走ったのに、ハートの海賊団の1人すら捕まえられないなんて。
逃げられたのはアイツじゃないけど、なぜかあのニヤッとした人を馬鹿にするような笑みが浮かんできて、憂さ晴らしをするようにそいつの名前を叫ぶ。



「…んの、クソファルガァァァァ!!!」
「呼んだかクソ海軍」
「どわぁぁぁぁ!!?」



完全に油断していた。だって後ろに気配なんてなかった。
いや、そんなの言い訳だってわかってるけど、急に後ろから聞こえてきた声に正直に驚いて声を上げる。
そして、ふと、体の違和感にも気付いた。



「って、どこ触ってんのよーー!!」



身体を捻って勢いよく背後の男に拳を叩きつける、…ことが出来ればどんなによかったか。勢いよく振り下ろされた手は見事に空振って、代わりに私は怒り故の涙目でこの長身の男を睨み付けた。



「なんだよ。呼ばれたから来たってのに、ご挨拶だな」
「うるさい!背後から無許可に人の胸揉むな!この変態!!」
「許可があればいいのか」
「よくない!!捕まれ!!」
「誰が」



素早く銃を構えて発砲するけど、トラファルガーの方が一枚上手であの変な能力で軽々とかわされる。覇気なんて、こいつの能力の前じゃあってもなくても同じようなものだ。当たらなければ意味がない。



「…あっ…!」



やば、!
怒りに任せて無意味に発砲し続けてたら、どうやら弾切れらしい。
しまった。予備の弾もないし、援軍なんて呼べる状況じゃない。



「勝負あったな」
「まっ、まだ決まったわけじゃな、」
「ROOM」



やばい、殺される…!!

シャンブルズ、と聞こえたと同時に、ぎゅっと目を瞑る。
だけど、少ししてもなんの痛みもなくて、ゆっくりと目を開ければ離れたところにニヤニヤとしたトラファルガー。



「…っ馬鹿にして…!!」



本当にむかつく!馬鹿にしてる!!


銃がなくても素手で戦えるんだから!
そう意気込んで、トラファルガーに向かって走って行ったけど、2、3歩踏み出したところで妙な違和感に足を止める。胸の辺りの圧迫感がなくて、妙にスースーする。



「…黒か。悪くねぇな」



前を見ると、トラファルガーの手からひらりとはためく私のお気に入りのおしゃれ黒ブラ。



「………っ!!?」
「へぇ、おまえも赤くなることあんだな」
「なっ…!!返せっ!」



赤くなった頬は元には戻らないけど、この屈辱、一発入れなきゃ晴らされない。
まさに私の怒りは沸点を有に超えていて、このふざけた戦い方だからかなんなのか、トラファルガー相手だといつも自分が空回る。だけど、今日という今日は許さない。今度こそ、と足に力を入れて地面を蹴った。



「シャンブルズ」
「…やっ、!!」



だけど2度目のこの言葉に私はその場にへたり込む羽目になった。



「へぇ。結構際どいの着てんだな、見かけによらず。誘ってんのか?」
「※○$%×ーーっっ!!!!」



変わらずにやにやとした笑みを向けるトラファルガーの右手には紛れもなく私のショーツが握られていて。恥ずかしさとか、服は着てるのに下着は着けてない違和感とか、色々な感情で頭がパンクしそうで。私は声にならない声を上げて絶叫した。



「次は清楚系の白、期待してるぜ」




海賊なんて嫌いだ。
全員私の手で捕まえてインペルダウンにぶち込んでやる。



いつの間にか出てきた潜水艇に乗り込みながらふざけたことを言ってきたトラファルガーに、心の中で堅くそう誓って、為す術もない私は、今は悔し涙に身を任せた。












((もっと強くなって絶対捕まえる…!!))
(あ、あの!ミア少佐、!)
(なんですか!)
((ヒィ!)ゆ、勇気を出して申し上げます…!)
(?)
(せ、背中の正義の文字の上に、その、落書きが…)
(えっ!?なにそれ!と、取ってください!)
(はい、…………ん?…と、取れません…!!)
(えぇ!?何の落書きなんですか?)
(………そ、それは………)
(……………?)
(その…………)
(言ってください(どうしたんだろ?))
(はい………その…………“ノーブラノーパン”と………)
(…………………………( ぶ っ 殺 す ))








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