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結局はばかっぷる。





「マルコ!」
「ミア、どうした!?」
「マルコうざい!!」



雷に打たれたかのようなマルコの表情に、食堂にいたクルーが例外無く吹き出す。かくいうおれも、鼻にうどんを詰まらせてむせてしまった。



「ど、どういうことだよい!?」
「うるさいうざい過保護死ね!」
「死ね!?」



まるでコントなやり取りに再び吹き出してしまい、ミアの目の前に座っていたおれはマルコから鉄拳をお見舞いされた。



「ってぇな!マルコ死ね!」
「あぁ!?てめぇいい度胸してるじゃねぇかい。エース、お前の昨日の書類だがな、」
「あ、すんませんっした!」
「いやエースアンタ負けんの早すぎ」



ノリよくミアの真似して暴言吐いてみたが、やはり許されることはなく、あっさりと白旗あげたらミアがケラケラと笑った。



「にしてもおめぇらが喧嘩とか珍しいな」
「別に喧嘩してねぇよい」
「だってマルコがうざいんだもん」
「…………ミア」



しゅんとした表情のマルコは意外と見もので、おれはまた笑いを堪えるために鍛えぬいた腹筋を使う羽目になった。



この二人が喧嘩をするのは本当に珍しい。というか、おれは今まで一度もそんな光景を見たことがない。というのも、こいつらが普段は気持ち悪ィくらいのバカップルだからだ。



「まーまー。うどんでも食って落ち着こうぜ?」
「それもそうね。」
「おれはいいよい。」
「なんだよマルコ?食わねぇのか?」
「まさか食事も喉を通らないなんて言わないでしょうね?」
「その通りだよい」
「うわ」
「きも」



なぜかまた俺だけに鉄拳が落ちる。おれは「うわ」しか言ってねぇのによ!
キモいと言ったミアには制裁なし。なんだこれ。



「で?ミアはなんでマルコに怒ってんだよ?」



マルコの怒りとか不機嫌は結局周りにくるのだから、問題は早めに解決した方が被害も少ないってもんだ。だからおれは仕方なくその嫌な役を買って出た。



「だって、過保護なんだもん…」
「過保護?」



はてなマークを浮かべた俺は、またその言葉を聞き返した。マルコの過保護なんて、今に始まったことじゃねぇじゃねぇか。



「過保護って言われた」
「…どこのどいつだい、そんなこと吹き込んだやつは」



むっと唇を尖らせたミアにマルコが不機嫌を顕にして問いかける。
ホントに、誰がこんないらんことをミアに吹き込んだんだ。とんだ迷惑だ。



「まぁまぁ。ミアは過保護嫌なのか?」
「いや!」
「なんで?」
「だって……」



ちらりと乙女な目でマルコを見上げたミアに、瞬時におれはもう用なしだと悟る。というか、早く避難した方がいいと悟った。



「だって、私はマルコの彼女だし…。保護者じゃないもん……」
「ミア………」
「だから、過保護して欲しくない」
「大丈夫だ!あれは過保護じゃねぇよい」
「えっ?」
「あれはミアが可愛いと思うが故の優しさだよい!」
「マルコ…!!」



キラキラした何かが飛び交う中、おれは無表情でうどんを胃の中に詰め込み静かに席を離れた。











(エース、おかわりいるか?)
(いや、今日は遠慮しとく(無表情))







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