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現実と夢の狭間の出来事





身体が熱くて、吐く二酸化炭素も熱を持っているのがわかる。意識が朦朧としている、寝ているのか寝ていないのかも曖昧な、そんな時に、ふいに額に冷たいものが当たって瞼を上げた。



「…………いぞう、」
「悪ィ、起こしちまったか」



耳鳴りもするし、頭も痛いのに、視界に入ったイゾウの声はすんなりと耳に入ってくる。大きくもなく小さくもない心地良いイゾウの声に、何故かはわからないがほっとした。



「ごめんね、タオル、ありがと、」
「ああ。こんくらい、どうってことねェよ」



ふっと笑ったイゾウはふわりと私の髪を撫でた。それが気持ちよくて、私は目を細める。



「もう少し、寝るか?」
「うん、……そうしよう、かな、」



もういちど、私の髪を梳いたイゾウの手がとても心地良くて、また意識がふわりと旅をする。



「なァ、ミア」



うん、なに?

そう答えた私の言葉は、声になっていただろうか。



「風邪ってキスでうつるんだってな」



また身体が浮いたような感覚に、熱で侵されている頭は考える事を停止する。

唇に柔らかく触れたのが、現実か、夢かさえも、今の私に知る術はなかった。






(苦しむ姿を見るくれぇなら、その苦しみごと俺が奪ってやるよ)





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