想うがゆえに裏表
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とにかく可愛いんだよい。
俺の女が。
女、と言うより、「恋人」とか「彼女」とかの言葉が似合うコイツは、俺より10以上も年下だ。
ミアと歳の近い奴らは皆、俺の事なんて口うるせぇおっさんくらいにしか思っていないと思っていたが、それが今じゃ俺の女で。しかもそのおっさんがその随分と歳の離れた若い女にかなり入れあげている。本当に笑い話だ。
だから俺はそれを悟らせねぇし、心の中だけでこの暴れる気持ちを抑えている。
「マルコ忙しそうだね。何か手伝おうか?」
だからふいにミアに話しかけられれば、内心かなり舞い上がっちまうわけで。年上としての余裕とか、男としてかっこつけてぇとか、とりあえずそんなので自分を自制しているが、いつかそれが爆発してコイツを怖がらせちまうんじゃねぇかとヒヤヒヤしている。
「いや、もう少しで終わるから、ミアはそこで待っててくれよい」
実際に書類はもう終わりが見えている。
なんとか大人の余裕を見せつけて、可愛いコイツに俺のだらしなさがバレねぇよう、すぐににやけた口元を隠すように再び背を向けた。
正直、年下と付き合うのは面倒くせぇ。
歳が近いヤツと付き合っていた方が、気持ち的に楽だ。手ぇ出すにもいちいち考えちまうし。ジェネレーションギャップとやらを感じた日には、外には出さねぇが、結構落ち込んだりもする。
だが、それでもいいって思っちまえる程に俺はコイツが好きらしくて。それに抗おうと思う理由もねぇ。
たとえ、こんなに歳の離れた年上の俺に、ミアが全く甘えて来なくても。
自分の事は自分できっちり片付けて、俺に一切頼ろうとしなくても。
それでも俺はコイツを手放す気はねぇ。
「あ、もしかして暇か?なんなら先行っとくか?」
行かせる気なんて毛頭ないが、部屋で待たせるのも暇だろうと一応聞く。
これは俺なりの努力というヤツで。
いつか若ぇ男に取られちまうんじゃねぇかなんてビクビクしながら生きるなんて俺らしくねぇし。
年上なら年上らしく、大人の余裕を見せつけて、いつでもミアが甘えられるように、頼れるように、完璧にしておく。
まぁ、振り向き様にクルリとペンを片手で回した行為が、いつかミアがかっこいいと目を輝かせた行為だってことはコイツは覚えちゃいないだろうが。
今ではそれが癖になっちまったってあたり、俺もまだまだガキだ。
ミアは今でも十分可愛いし、守ってやりてぇと思う。
だが俺はそれだけじゃ全然物足りねぇ。
ミアが俺に甘えて、頼ってくれるまでは、俺は自分が思ってることなんてぜってぇ言わねぇし、悟らせることもしねぇ。
おれはいつでもお前を支えていけるようにしてるからよい。
だから、
なぁ、ミア。
ひとりでばっか頑張ってねぇで、たまには俺にも甘えてくれよい。
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