想うがゆえに表裏
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たとえばエースみたいに歳の近い可愛い彼女がいて、小さな事で一緒に一喜一憂したり。
たとえばイゾウみたいに歳の近い大人な彼女がいて、同じ空間で価値観を共有する。
それが羨ましいと思った事は数えきれないくらいあるけれど、だからといって他の人がいいと思った事は一度もない。
マルコは私よりも10歳以上も年上だ。
彼だから好きだし、彼だから一緒にいたい。
それは歳なんか関係なくて、今後どんなことがあったって変わらないんだけど。
「マルコ忙しそうだね。何か手伝おうか?」
「いや、もう少しで終わるから、ミアはそこで待っててくれよい」
でも、こういう時はやっぱり少しだけ寂しく感じる。
マルコと比べると、そりゃ経験もないし学もないし、手伝えることは少ないとは思うけど。それでも、さ。私もエースたちみたいに小さな事でも一緒に頑張りたいし、イゾウたちみたいに片方が大変な時はさり気なく手伝ったり支えてあげたい。ふたりで、頑張りたい。
元々自分に自信なんてない。それに加え、年下というディスアドバンテージ。
でもマルコの為なら私は頑張れる。
だから朝も早起きするし、勉強も少しずつしてる。戦う時に足手まといにはなりたくないから鍛錬も怠らないし、少しはマルコにも安心してもらいたくて、私なりに大人な女になれるように努力しているつもり。
「あ、もしかして暇か?なんなら先行っとくか?」
私に背を向けていたマルコが振り向いて、ペンをくるりと回しながらそう聞いて来た。マルコはどんなに忙しくても気配りを忘れない。
「ううん。待っとく、ありがとう」
私はそれににこりと笑って答えた。
そうか、と笑い返してくれたマルコはやっぱり大人で。
マルコと付き合い始めてから何度も思ってきたことがまた頭の中に湧き出て来た。
マルコにはもっと大人で知的な落ち着きのある女性が似合うんじゃないかとか。
価値観を共有出来て、マルコを疲れされない女の人がいいんじゃ、とか。
私みたいな小娘がマルコの彼女として何をしてあげられているのかとか。
本当はマルコは私といない方がいいんじゃ、とか…。
でもね、たとえさ。
たとえマルコの好みドストライクで教養もあって綺麗で気配り上手で、誰よりもマルコにお似合いの女の人が出て来ても、私絶対にマルコとは離れたくないんだ。
歳の差を変える事は一生出来ない。
私がいなかった間のマルコの時間は、私には埋める事も感じる事も出来ない。
でも、
だからこれからのマルコの時間がずっと欲しい。
だから、マルコが私のもとで安心出来るように、マルコがマルコでいられるように、努力する事は出来る。
誰にも負けないように、努力する事は出来る。
ああ、はやく、
年上のあなたにふさわしくなりたい。
ねぇマルコ。
私がマルコのためにこんなに考えてる事、マルコは知らないでしょ。
こんなにこんなに、好きな事、知らないでしょ。
たとえマルコが「若い彼女が出来てラッキー」なんて考えてても、私はそうじゃないんだよ。
大好きすぎて、マルコに一番似合う女になりたいって思うくらい、自分を変えちゃうくらい、大好きなんだ。
でもそれは教えてあげない。
今は背伸びしているけど、きっと今に追いついて背伸びしなくてもマルコの隣を歩けるようにするから。
だからさ、
早くマルコが私に「一緒に」を求めてきますように。
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