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たからもの2





「あ、これ可愛い」
「こっちも似合いそうだな」



賑わう街中の道路脇にあった露店で、可愛いアクセサリー達に目を奪われた私は彼氏の袖を引っ張って足を止めた。それから十数分、サボはあっちもいいこっちもいいと目移りしまくっている優柔不断な私に文句を言う事もなく付き合ってくれている。



「どれも似合いそうだからなー。なんなら全部買っちまうか?」



隣から聞こえて来た声に目をぱちくりさせる。
サボは平然と、さも当然のように私にそう言って、あのいつもの笑顔を向けてきた。



「全部はいらない。多すぎても困るし」
「そうか?女って難しいな」



そう本音を言えば、サボは笑って、また「こっちはどうだ?」なんて聞いて来て、嫌な顔一つしない。



「うーん…、これとこれと、これ。サボはどれが好き?」
「その3つなら…」



ちらりと私を見たサボは、にこりと満足そうに笑って「これ」と淡い青色のピアスを指差した。



「じゃあ、それにする」



私もにっこりと笑ってサボに言うと、サボはポケットから紙幣を数枚出す。



「え、サボいいよ。私が欲しいのだし、自分で買うから」
「ここで断られる彼氏ってすげぇ可哀想じゃねぇか?こーゆう時は黙ってプレゼントされてろよ」



そう言われては、言い返せない。きゅんと鳴った心臓を上手く隠していたら、露店のお姉さんがサボに「男前だね!」って声をかけていた。サボはサボで、それに「鏡貸して」なんて軽く返していて、受け取った鏡を私に渡す。



「なに?」
「せっかくだし、つけてこうぜ」
「え、う、うん」



反射的に鏡を受け取って、さっき選んだ青色のピアスを手に取る。鏡に映る自分とピアスに、なんとなくドキドキした。たぶん、サボが似合うなんて言ったからだ。
不器用な手で耳朶にピアスを乗せてる間にサボは露店のお姉さんと話しながら会計を済ませる。そして私がピアスをつけ終わったタイミングで、隣のサボが立ち上がった。



「よし、じゃあ行くか」
「うん。サボピアスありがとう」
「どういたしまして」



すっと自然に伸ばされた手に迷う事なく自分の手を乗せて、お姉さんにお礼とともに鏡を返す。立ち上がる時にピアスが優しく揺れて、こそばゆい気持ちになった。



「それ、やっぱ似合ってんな」
「だって、サボが選んでくれたやつだもん…、」



繋いだ手の温度が少しだけ上がった気がして、好きって気持ちを込めてもう一度サボの手をきゅっと握り返した。














(ん?……サボ、それ……。ピアス、つけてたっけ?(サボがピアス?))
(あ、やっと気付いた?これ、ミアとお揃い。ペアのやつこっそり買った(へへ))
((お、おそろい〜〜〜!!!(きゅーん)))





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