top
name change
poisoned.





「…こ、これは…?」
「あ?首輪だろ?」
「……………。」



ありえない。
これが、泣く子も黙る白ひげ海賊団16番隊隊長?



「着けろ」
「……………。」



やっぱり逃げようか。

私はいわゆる自分の力を試したい、無鉄砲な馬鹿に分類される人間で。今日も白ひげ海賊団が近くに来たと聞いただけで飛び出して来た馬鹿だ。それでコテンパンにやられて、捕まって、今に至っている。
何でも出来ると思い込んでいる年頃ってホント怖い。



「ちょっと、これは流石に…」
「お前さんに拒否権があるとでも思ってんのかい。おめでてぇなァ。」



からりと笑った目の前の海賊は、先程の首輪発言をした者と同じ生き物だとは思えない程、楽しそうに笑った。

でもだからこそ、危ない人なのかもしれない。

やっぱり、逃げるべきだ。
私の直感が、そう告げている。



「………。」



敵は運良く1人。
少し離れた場所にいる海賊をチラリと見ると、のんびりと背を壁に付けて腕を組んでいる。ドアは、アイツの方が近いけど、ふいをついて走れば何とかなると思う。それで、とりあえず海に飛び込んで、岸まで泳げばなんとかなる。きっと、大丈夫。


短時間でそこまで考えて、すうっと息を吸い込んだ。



「あああ!!!白ひげが向こうで倒れてるぅぅーーー!!!」



ダッシュ!!!
叫んだ瞬間、目の前の首輪を蹴飛ばす時間も惜しんで全速力でドアへ向かう。
この海賊団はある意味白ひげが一番の弱点。だからきっと油断してくれるはず。

でも。

ドアまであと数メートルと言う所で視界がくるりと回って、全身に衝撃が走った。
あまりにも強い衝撃で目の周りがチカチカするけど、意識が徐々にとはっきりしてくると、不覚にも海賊に頭を押さえつけられていることに気付く。
床に擦り付けられている頬がひりひりと痛い。



「お前さん、馬鹿だろ」
「ひ、ひどい……」



声が頭上から、でも思ったより遠くから聞こえて、ちらり目を走らせると、腕を組んだままの海賊が私の頭をサッカーボールよろしく足蹴にしていた。



「ちょ、足っ!?酷くない?一応女の子なんですけ、」
「あぁ?」
「すみませんごめんなさい」
「くだらねぇ事に、親父の名前出してんじゃねェ」
「ご、ごめんなさいもう二度と言いません…!!」



怖いよ、やっぱこの海賊、怖い。
いきなり声低くなったし空気凍り付いてるし。
頭痛いしもう嫌だ。絶対ほっぺた擦れて赤くなってるし、髪は砂でじゃりじゃりになっていてもおかしくない。
ぐりぐりとまるで煙草の火を消すかのように私の頭を踏みつけ、“二度とすんなよ”と更に念を押す。
するわけない。弱点?逆だよ火に油だったじゃんもう嫌だ。帰りたい。



「もうしません。ごめんなさい」
「わかりゃ、いい」



やっと頭が解放されて、押さえつけられていた頭が空に浮くような浮遊感に襲われた。
ちょっとだけ涙が出たけど、海賊にそれを知られるなんて嫌だから、分からないように袖で拭った。



「で、どうしたらいいか、分かってんだろ?」



もうきっとここから逃げられない。
きっと一生、奴隷のような生活を送るんだ。

絶望感が心を覆い、目の前の海賊の言葉が、更に私に追い打ちをかける。

視線の先には、先程投げて寄越された、首輪。



「………。」



1歩ずつ、それに近付く。
自分が人間から離れていくようで、心がぎゅっと苦しくなった。


横からは、そんな私の様子を見てクツクツと肩を揺らす海賊。さぞや、滑稽だろう。でも、逃げられない私には、こうするしか道はないんでしょ?


ぺたりと、転がる首輪の前に座る。ゆっくりとそれを手に取って持ち上げた。



「あんなに嫌がってたってのに、自分からそんなモン着けるたァ、」
「………」
「お前さん、とんだ変態だな」



可笑しいのを耐えるように、喉の奥をクツリと言わせた海賊が、私にそう声をかける。
思わず、キッと憎らしいそいつを睨みつけた。
けど、
コイツに勝てるわけがないから、
逃げ切れるなんて万に一つだってないって、思い知らされたから、
泣きたいのを我慢して、

わたしは、

手に持っていたそれを自分の手で、自分の首へと着けた。



「………。」



首輪一つでどうしてこんなに、心の中が変わってしまうんだろう。
もうなにも、逆らう気にもなれないし、これからの自分を思って、真っ暗闇に突き落とされたような感覚なる。
感情的なのか無感情なのか分からないけど、たぶん、人間として流す最後の涙が一粒床に落ちた。


俯く私に、先程と同じように笑いながら海賊が近付いてくる。

涙、気付かれてないといいなぁ。なんて、人間みたいな事を思う。

目の前に海賊の足が見えて、同時に、ぐい、と顎を持ち上げられて上を向かされた。



「いい瞳だなァ。名前は?」
「………ミア」
「気に入った」



至近距離で見た海賊は、海賊とは思えない程綺麗な顔をしていた。でも、首輪という枷を付けてしまった私にはそんなこと関係なくて、どうでも良くて。



「お願い、してみな」
「…おねがい、」



私の願いって何だろう。
海賊の言葉を繰り返した私に、そいつは楽しそうに耳打ちをした。



「………私を、……飼っ、て、…ください、。」



また、クツリと海賊が笑った。

























▽ギャグ落ちが良い方のみ、どうぞ。












(ハッ…!!私、寝っ…!!)
(おはよーさん)
(!!!ごっ、ごめんなさい!寝てしまって、ごめんなさい!もう勝手に寝ないので、どうか、許してください!!!ハッ!!私、ベッドに…!!なんてこと!!(ドタバタ降))
(ハッハッハ、板についてんなァ(笑))
(…?????(涙目))
(昨日は楽しかったぜ(にや))
(楽し、…よ、よかったです(ほっ))
(まァ、これと言って用もねェし、帰りたけりゃ帰っていいぜ)
(え??(ぽかん))
(あ?…ああ、この船乗りてぇなら、親父に挨拶して来いよ)
(えっと、……え?)
(……。(面白ぇ)クク、悪ィな。昨日のは悪ふざけだ)
(……………。はぁ!??)
(あとは好きにしな)
(…………)
(………)
(………っ、もういいです!帰ります!!(泣・ドアばったーん!))
(おう。じゃあな)
(………)
(………?)
(………)
(…帰らねぇのか?)
(……ッ、…ほっ、本当に帰ろうとして、ご、ごめんなさいーっ(ぽろぽろ))
(………は?)
(もっ、もうしないので、ック、許じでくだざい!!(号泣))
((………これは…、責任取るべきか…?(汗)))






| TEXT |




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -