THE END
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イゾウなんて大嫌いだ。
ほんとーに、意地悪で性格悪い。
「……、はぁっ、」
薄暗い室内で、私の甘ったるい声だけが響く。我慢が出来なくて漏れるそれは、私に羞恥心しか与えてくれない。
「相変わらず、感度だけはイイじゃねぇか」
「…ちがっ、ッッ」
壁越しに追いつめられて、好きに触られて、ざまぁない。
嫌だって逃げていたのに、捕まってしまったらこれだ。私に節操がない、なんて思いたくはない。コイツに、節操がない、んだ。
「否定しきれてねェよ」
「ひぁ、…!!」
両サイドから髪をかきあげられて露になった首もとで囁かれる。低い彼独特の声に、身体が痺れたような感覚になってまた口から変な声が漏れた。イゾウなんかに、自分がこんな反応をしてしまうことに、自分自身の声を聞いて恥ずかしくて嫌になる。
「……はぁ、…んん、」
二度と声なんて出すまいと、きゅ、と唇を噛むけど、かきあげられた髪を片手で引っ張られて、その痛みにまた声が漏れた。
「余計な事考えてんじゃねェ」
有無を言わせないその声と瞳に怯む。
いつからこうなってしまったんだろう。嫌いなんだよ、この男が。でも、捕まってしまったら、逆らえないんだ。
乱れた服が思考をも乱す。
左手で私の髪を掴んだまま、イゾウは私の首筋を噛んだ。
「…ッやぁ、!」
突然の事に、驚いて嫌いなはずの男の服をギュウと掴んだ。
「クク、良い声出すじゃねぇか。」
「……っっ」
「お前さんは、俺の事だけ考えてな」
首にかかる吐息に、嫌な程身体が反応してしまう。恥ずかしい。消えたい。イゾウなんか、嫌い。こんなヤツのために、何で私が。
「……ひゃぁッ!」
急にぬるりとした感覚が首を襲って、首筋を舐められたのだと気付く。そして同時に、スカートの下から私の内腿を撫で上げた。
上限等知らないように、じわじわと上がって行く自身の体温と疼く身体に、理性と本能が鬩ぎあう。
いやだいやだいやだ。こんな男の思い通りになるなんて。
でも、。
触られている腿が熱を帯びて行く。くらくらするくらいに、身体が欲してる。
「…クク、」
「……?」
「嫌いな男の前で、だらしねぇ顔だな」
「…ッ!」
さっきまで頭がぼうっとしていたのに、これでもかと言うくらい急に顔が熱くなった。本当だ、何をしているんだ、大嫌いな男の前で。
「や、…やだっ!」
力なんて入らないけど、このままではいけない、と、イゾウを押しのけようする。だけど私の抵抗なんて全くイゾウには効いていなくて。
かわりに、ぐい、と容赦なく髪を引っ張られて上を向かされた。あまりの痛みに目から涙が零れる。
「だが、まァ」
「ぃ、たッ、…!」
「…すげぇそそる」
「、!」
どくんと心臓が跳ねたと同時に、強引に唇を奪われた。
ああ、だめだ。
嫌い。嫌いなの。
でもくらくらする。何も考えられなくなる。
きっと、これはもう―
THE END
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