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“本っ当に、ごめん!お詫びに何でも言う事聞きます!!”



はい、言いました。言いましたとも。
イゾウの大事に大事に飲んでいる超レアなお酒を床に落として割った犯人として、責任を持ってそう発言したのは私ですけれども。



「なにこれ」
「首輪」
「なんで」
「酒の詫び、だろ?」



朝起きたらイゾウの部屋で首に違和感。目の前には上機嫌なイゾウ。



「いやおかしくない?」
「じゃあ弁償出来んのかい」
「………できません」
「クク、じゃあ今日一日、俺のペットだな」
「ぐ………、」



まるで新しいおもちゃを見つけた子供みたいに楽しそうなイゾウは、ぶっちゃけ、怖い。
弁償出来る物ならしている、けど。そんなに貯金があるわけじゃない。



「そうだなァ……。イヌ…いや、ネコ…。」
「え?」
「一日、ネコな」
「はぁぁぁ??」
「反抗もいいが、悪い子にゃあ飯はねぇぜ」



“飯”の言葉に身体がピクリと反応する。朝抜かない派の私は、本当のことを言うと、既にお腹が減っている。と、思った瞬間にお腹が鳴って、それを聞いたイゾウが喉の奥で笑った。



「…笑うな」
「朝の散歩に食堂に連れてくかい」
「……結構です。」



何が嬉しくてこんな格好で船内を歩かなければならないのか。私にそんな趣味はない。



「まァ、そう言うだろうと思って、飯持って来てやったぜ」
「えっ!やった!」



そう言うと立ち上がって机の方へと行き、朝食が乗っているであろうトレーを持って来た。それに私は嬉々として手を伸ばすが、イゾウはそれを私に渡そうとはしない。



「まさか、ネコが手で食うなんて、しねェよな?」
「は……」
「なァ?」



その有無を言わせない笑顔に顔が引きつる。ペットって、本当にペットになりきれってことなのか。つまり、手を使わずに食べるって、………。………出来るわけ、ない。



「無理」
「じゃあ、残念だが朝飯はなしだな」
「ええっ……」



ぎゅるぎゅるぎゅる、と空腹を訴えるおなかを押さえる。手を使わないで食べるなんて屈辱的すぎて無理だ。しかもイゾウの前でなんてもっと無理。いくら基本何でもする私でも、プライドのプの字くらい持っている。
でもだからと言って、食べないってのも無理だ。

でもそれなら。



「あ!じゃ、じゃあ、イゾウが食べさせて?」



なんて名案!
と、顔を輝かせたのも束の間。私のその発言にニヤリとイゾウが笑った。あ。嫌な予感。



「ペットらしくお願いしてみな?」
「えっ、………。た、食べさせて、ください…?」
「………」
「………………にゃん……、」



まさかと思って言ってみたが、やばいなにこれ恥ずかしい…!!!
クク、と肩で笑うイゾウは、絶対に楽しんでいる。
そうやって笑われる度に羞恥心が増して体温が上昇していく。本当にイゾウは嫌なヤツだ。



「……いいぜ」



そう言って私の隣に腰掛けたイゾウに、とりあえず、ほっと息を吐いた。
でもまだ一日は始まったばかりで。
先の長さに気が遠くなった。











(ほら、食えよ(ニヤニヤ))
(ちょ、そんな、見ないで!食べれない、…!!(なにこれめちゃくちゃ恥ずかしい!!))






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