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ストロベリーキス





ダイエットに成功したら、大好きなサンジくんからご褒美を貰えるって約束をした。
そして今日、ついに、目標体重に到達したのだ。



「っ、サンジくーーーんっっ!!!」



早朝だと言うのに、あまりの嬉しさに大きな音を立てながらお風呂場を勢い良く出て、キッチンへと走る。
バタン、と音を立てて扉を開けると、キッチンでフルーツを手にしたサンジ君が振り向いた。



「おはよう、ミアちゃん。」
「おは、おはよう!」
「よく眠れた? 」
「サンジくん!」
「…どうしたんだい?そんなに慌てて」



心配そうな顔をして、サンジくんは手に持っていた包丁を置き、私の方へと歩いてくる。サンジくんは優しい。だから、好きになってしまったんだけど。



「大丈夫?」
「うん、あのね、サンジくん!」
「うん?」
「私、ついに目標体重達成したの!」
「!」



一瞬目を丸くしたサンジくんは、すぐに破顔して「おめでとう」と喜んでくれる。



「もともとダイエットする程でもなかったけどね」
「ううん、太ったのは事実だし」



そう言って笑うと、サンジくんはよしよしと頭を撫でてくれた。まるで、よくやったと褒めてくれる兄か父のように。

もちろん、これが私の不満であることは、サンジくんは知らないと思う。



「ねぇ、サンジくん」
「なんだいミアちゃん?」
「約束、覚えてる?」
「もちろん!ご褒美、だろ?」



ほっとして、笑って頷く。
随分前にした約束だけど、覚えていてくれて、嬉しい。



「それで?お姫様はどんなご褒美が欲しいんだい?」
「えっと、…サンジくんと私ってさ、同い年でしょ?」
「そうだね。」
「だから、その……」
「……?」
「こ、子供扱い止めて欲しいの」



サンジくんの顔が固まる。
だよね。いきなりなんだって思うよね。
でも、サンジくんはいつも私の事を小さい子に接するように扱うから。
私はサンジくんが好きだから、いつまでも妹に接するみたいにして欲しくない。我侭だけど、ご褒美だし、減量成功で少しだけ自分に自身がついたから。



「……だめ、かな?」
「…………それって、どういう意味?」
「えぇ!?」



まさか、サンジくんは自覚なしに同い年の女に妹のような扱いをしてきていたって事だろうか?

さっきのがどういう意味かと聞かれると、単純に女として見て欲しいってことなんだけど、まさかその説明を求められるとは思ってなくて、咄嗟に驚いた声を上げてしまった。
だけど当のサンジくんは真面目な顔で私の返事を待っているから、顔に熱が集まっているのは分かっているんだけど、しどろもどろになりながらも声を出した。



「つ、つまり、…その、……女の子というより、えーと、…じょ、女性として見て欲しいと、いうか……」
「……おれに?」



うわあああぁぁ!!これもう告白してるようなものでしょ!!

あまりにも正直すぎた自分の言葉に、サンジくんの問いかけに俯く形で答えた。馬鹿すぎる自分にうんざりだ。他に言い方だってあっただろうに。
もう一生顔上げられない。恥ずかしすぎる。



「……ミアちゃんを同い年の女性として、ね」



更に追い打ちをかけるように、私の言葉を繰り返したサンジくんは少し溜息まじり。ああ。泣きたい。



「………本当に、いいの?」
「え…?」
「本当に、それでミアちゃんは後悔しない?」



何度も念を押すかのような問いかけに不思議に思って顔を上げると、その気遣うような声色とは相反して、何故か不敵な笑みのサンジくんが目の前にいた。



「え………、え?」
「後悔、しないよね?」
「え、と………???」
「ま、させるつもりはないけど。」



そう言ってにこりと笑ったサンジくんは、何の脈絡もなく「苺好きだよね?」なんて聞いて来て、思わずそれに頷いて答える。

あれ?さっきのサンジくんは何だったの?

そう思っていると、さっきサンジくんが立っていたキッチンから赤い粒を2つ持って来て、ひとつを自分の口へ、もうひとつを私に差し出す。



「おいしいよ」
「え、うん?……ありがとう?」



とりあえずそれを受け取って、口の中に入れる。噛むとじゅわりとした甘みが広がった。



「おいしい?」
「う、うん。おいしかっ、」



おいしかったよ、とそう伝え終わる前に、サンジくんの大きな手で両目を覆われた。と同時に、唇に柔らかい感触、と、先程と同じ甘い苺の味。



「……、??!」
「おれとミアちゃんの初めて、苺味だったね」



今までにない距離で聞こえて来た好きな人の声に、身体中の血液が沸騰しそうだ。



「サ、サササ、サンジ、くん…!!」
「なに?」
「なにじゃ、なくてっ、!!」
「ミアちゃん可愛い。ごめんね、キスしちゃった」



そう言ったサンジくんは彼の体温が伝わる目隠しを外して、そのまま私の前髪を持ち上げると、今度は額にキスを落とした。



「おれ、ミアちゃんのこと好きだよ。おれのなけなしのバリア破ったのはミアちゃんなんだから、今更ナシは止めてね」
「いっ、いっ、言うわけ、ないじゃんっ!!」












(……サンジくん、苺好きなの?)
(別に?どうして?)
(えっ、いや……だって、さっき……(ごにょごにょ))
((可愛い…)ミアちゃんとの初めてがタバコの味なんて嫌でしょ)
(……!(やっぱサンジくん優しい!!))


(それでさ…。ミアちゃん、俺の恋人になってくれるかい?)
(……もちろん、です…!(嬉しすぎて死ぬ!))


(あ。そういえば、ご褒美何が良い?)
(もう十分すぎる程貰いました。)
(なんでもするから遠慮なく言って?)
(いや、本当に、!もういっぱい貰っちゃったから)
(でもおれがミアちゃんを甘やかしたい気分なんだ(メロリーン))






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