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「ああああああああああああ!!」

私の絶叫が船内に響き渡った。











「本当にごめん!!」
「お前なー……」
「反省してます…」



現在私はシャチに頭を下げまくっている。
理由は私がシャチのサングラスを壊してしまったから。



シャチに忘れ物を部屋から取って来てほしいと頼まれ、二つ返事でシャチの部屋へ行ったのは良かった。
ただ、忘れ物を探しているときに、机の上に置いてあったサングラスを落としてしまって、その上焦った私は積んであった本も崩してしまい、その本がサングラスの上に落下してしまった。
一瞬の事で、本が落ちる前にサングラスを拾う事も出来なかった。



「シャチ、次の島で弁償する。本当にごめんね…」
「弁償とか、別にいらねぇって。つーか怒ってないし」



本当に気にしていないというように、シャチ独特のあの人懐っこい笑顔がこちらを向く。
ついでに私を慰めるように、よしよしと頭を撫でる。



「でも、壊しちゃったの私だし、新しいの買うよ」
「いいよ。オレ別のも持ってるし」
「でも、悪いし……」



項垂れる私に、シャチも困った顔をする。
ああ、こんな顔させたい訳じゃないのに。



「んー、じゃあ、キスしてくれたら許してやる」
「き、きす?」
「うん。ダメ?」
「う、ううん!でも、そんなのでいいの?」
「そんなのって……じゃあ早くしてよ」



にっと笑って目をつぶるシャチ。
本当にこんなのでいいのかなぁ、と私はシャチの頬にキスをした。



「…………悪ィけど、まだ許せねーな」
「えっ」
「だってオレが言ってんの、こっちだもん」



そういって自分の口元を指差した。
一瞬で顔に熱が集まったのを感じた。
だって、それは、恋人同士がするものでしょう?



「はやく。“そんなの”なんだろ?」



意地悪く笑んで、シャチは先を促す。
ぱくぱくと口を動かしてそれでも動揺を隠せず動けない私に、シャチは「ばーか」と言葉を投げかけた。



「顔赤すぎ」
「だ、だって…」



恥ずかしくて視線を落とした瞬間に、ちゅ、と軽く触れたシャチの唇。



「シャ、チ…っ」
「これで許してやるよ」



ぺろりと唇を舐めるシャチに更に動揺する。
じゃあなと言って部屋を出て行くシャチを見ながら、次会った時どんな顔をすればいいのか、このドキドキの落ち着かせ方もわからないまま、私はヘタリと床へ座り込んだ。







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