エースと小さくなった少女【中】
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「ここでちょっと待っててくれな?」
そう言ってミアをドアの外に置いて、マルコがいるであろう部屋の中に入ると、出て来た時と変わらずに、そこにはマルコ、ビスタ、サッチそしてイゾウがいた。
簡単に事情を説明すると、4人は半信半疑と言った調子で俺を見る。まぁ、実際に見ねぇと信じねぇよな。
というわけでミアを部屋の中に入れたのだが、4人は見事に固まってしまった。
「あ!みんな!!よかった!会いたかったっ!」
さっきまでの不安そうな顔とは打って変わって、心底嬉しそうに顔を綻ばせたミアは、ぱたぱたと小さな足を動かしてマルコの方へと向かって行く。
が、その足は数歩目でぱたりと止まる。
「…………マルコ?」
「え、あ、ああ。………つーか、マジで小さくなっちまったのか…」
呆然としつつもそう言うマルコに、ミアは眉を寄せて首を傾げた。
「ミア、本当に、その、ミアなのか…?」
「ビスタ?わたしはわたしだよ?」
「こりゃ、……驚いたねェ…」
「ほんとーにガキの頃のミア、まんまじゃねぇの…」
それぞれが驚いたような少し嬉しそうな表情を見せる中、俺はミアに手を引っ張られる。つられて引っ張られた方を見ると、眉をへの字に歪ませたミアと目が合った。
「…どうしたミア?」
「エース……」
「ん?」
少しだけ言い淀んだミアが気になって、話し易いように屈んで目線を合わせてやる。
「あのね、……」
「おう」
「なんか、…みんな違う…」
「違う?ちゃんと皆マルコとビスタとサッチとイゾウだぜ?」
「うん。でもなんか、…イゾウはいつもと同じだけど、」
「?」
「みんな、なんか…おじさんになったみたい」
「…………、」
「「「!??」」」
「ブッ…」
一瞬目が点になっちまったが、…ヤバイ。
笑いが抑えられねぇかもしれねぇ。つーか今イゾウ噴き出したな。
「ック、…ッ、ミア、……ッ」
「…うん?」
結構なショックを受けている3人を横目に、深呼吸を繰り返してなんとか息を落ち着ける。
「ふー。…ミア、そりゃ勘違いだ。確かにオッサンに見えるが、中身はそう変わってねぇと思うぜ」
「ふーん?よくわかんないけど、みんなはみんななんだね」
にこっと安心したように笑って、今度こそマルコの方へ駆けて行く。
その後ろ姿を見ながら、自分も小さいミアを知る事が出来たことに少しだけ優越感を感じる。
表情豊かで元気な所は全然変わっていない。けど小さいミアの方が今よりも少しだけ心配性で怖がり。
子供ならではの、守ってあげたくなるその無邪気さに“ずっと俺が付いててやる!”なんて普段思わねぇような事を考えながら、俺はミアの後を追っかけた。
(ミア、こっちにこないか?(そわそわ))
(ううん、マルコのおひざでいい!)
(そ、そうか(ずーん))
(フ…残念だったなビスタ(ニヤニヤ))
(うるさい。あと半年遅ければ、確実に俺の方に来ていた(あと半年だったのに…!))
(はーいミアちゃーん、こっち向いて(パシャパシャ))
(もーサッチ、写真ばっかり!(ぷん))
(可愛いミアちゃんが悪い!(びしっ))
(…ほ、ほんと?かわいい??(テレテレ))
(ああ、ミアは世界で一番可愛いぜ?(にこ))
(イゾウ、ほんとう!?)
(俺が嘘言ったことあるかい?)
(ないっ!(きらきら))
(……で、サッチはその写真どうするつもりだい(こそっ))
(あとでビスタに高値で売るに決まってんでしょ(こそっ))
(ちょ、ミア俺と遊ぼうぜー!!(なんだよこれ!俺無視かよっ))
(エースもマルコのおひざすわる?)
(え…………いや。座らねぇ(ドン引き))
(俺だって断固拒否だよい)
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