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つれた彼女





………このまま寝れると思ったのに、


おなかの上に置かれたサボの手はさっきから一定に私のおなかを温めるように丸く円を描いている。
痛くないって言ったけど、きっとこれはサボなりの優しさで。本当に女の子の日だったならすごく嬉しいし気持ちいいしふわふわな気分で眠りにつけるんだろうけど。


………。
サボの誘いを断った手前、自分がその気になってしまったなんてとても言い辛い。

でも、だって。
…サボの手が!

大きくて温かくて、あの骨ばった私の好きな手を想像してしまったら、意識がおなかの触れられているところへと向いてしまって。
サボの手が動くたびに、じわり、じわりと私の中にサボを欲しがる気持ちが増えていく。



「………っ、」



どれだけお腹を撫でられていたかわからない。
けど、ついに私は我慢出来なくなって、抱いているクッションを投げ置いてくるりとサボの方へと身体を向けた。



「うお、ビックリした、。寝てたかと思った」



サボもうとうととしていたのか、急な私の行動にビクリと身体を揺らしてこちらを見た。
けどすぐに笑顔になって「どうした?」って聞いてきて。
そんなサボが愛しくて、さっきまで私のおなかに置かれていた手をきゅっと握ってサボを見上げた。



「さっきの、」
「さっきの?」
「…うそ。」
「んん?なにが?」



きょとん顔のサボはもうきっとさっきの私とのやり取りなんて忘れていて、”おやすみ”って言った瞬間に完全に寝モードに入っていたはずだ。

今更かもしれないけど、。
だけど、サボが悪いんだからね。



「今日私女の子の日じゃない。」
「えっ…??」
「ごめん、うそついた」
「なんでまた、そんな嘘つくんだよ?」



怒るかと思ったけど、苦笑したサボはそう言って私が握った手を解いて指を絡ませてきた。ただ、指と指を絡ませているだけなのに、それすらも私の中の何かを掻き立てて。



「だって、眠かったんだもん」
「最近忙しいもんな」
「うん。でも、サボのせいで、…その、」



言葉を濁した私に、一瞬ぽかんとしたサボだけど、私の言わんとしている事がわかったのか、にやりと頬をだらしなく緩めた。



「へぇー。おれのは断っといて、今更誘ってんのか」
「う…。ごめん。でも、」
「でも?」
「……サボが欲しい」



どんな発情期のメスだ、とばつが悪くなって、俯いた。けど、そんな時でも目の前に見えたサボの胸板にキスしたい、なんて思ってしまった私はもうきっと末期で。



「…もう、眠くねぇの?」



一段と低くなったサボの声にどきっとして、もう一度顔を上げると、そこにはいつにも増して色気を纏ったサボがいて。



「ていうか、このままじゃ、寝られない、。」



なんて雰囲気に呑まれてそんなことを上目遣いで言ってみたら、



「寝かせねぇから覚悟しとけよ、」



なんて普段の優しいサボからは考えられないくらい男らしい言葉が返ってきて。
言葉を発する前にサボに唇を塞がれた。


止まらないどきどきに比例するように熱くなる身体に、まるで時間が止まったような錯覚に陥った。













(で。ふたりそろって寝坊か)
(ごっ、ごめんなさいドラゴンさん!!!)
(いやー、昨日すごい盛り上がっ(すぱこーん!!)いってぇぇー!!なにすんだよミア!?)
(やめろ馬鹿サボー!!(ドラゴンさんの前でなんてこと…!!))
(ぶはは、ミア顔赤ぇ(爆笑))
(だまれー!!(うわーん!))


(……。サボ。(溜息))
(ん、なんすか?)
(お前、2-3ヶ月偵察行ってこい)
(ええええーー!無理無理無理!!(どうせ拒否権ねぇんだろうけどさ!))






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