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つれない彼女





クッションを抱いて体を丸めて寝るのが私の癖。
その後ろから私を包むように寝るのがサボ。

ここ最近は多忙続きで、ベッドに入ってからすぐにうとうとし始める。
今日も変わらずサボに後ろから包まれながらうとうととしていて。
だけど、もうすぐ眠りに落ちると言う時に服の中に入ってきたサボの手に少しだけ意識が戻ってきて、面倒だな、と心の中で舌打ちした。

別にするのが嫌なわけじゃないけど、疲れている時は勘弁して欲しい。

ぎゅうと私を包む体勢のまま、もぞもぞと手だけ上へと這っていく。別に身体を触られるのは嫌いじゃない。だけど、寝るときに胸触るのはやめてほしい。サボいわく柔らかくて落ち着くらしいが。でも大体の場合、高いチャンスでそのまま寝られなくなることの方が多いのだ。



「…サボくん。」
「…んー?なにかな」
「私寝たいなー、なんて」
「却下!おれはミアといちゃいちゃしたい」



めんどくさ…。

へらりと笑って私の胸をつつと撫でたサボに、仕方なく私は最終手段を使う事にした。
ごめん、サボ。私本当に疲れてるし、眠いんだ。



「残念だけど、今日女の子の日なのよね」
「え、……えぇぇーー。マジか」
「ごめんね」



うそだけど。
背後に感じたしゅんとした雰囲気に少しだけ罪悪感が生まれるけど、眠いんだもん、仕方ない。
ぴたりと止まったサボの手が、しばらくしたら所在無さ気にそろりそろりと私の胸から下におりていく。そうそう、それでいい。

でも。

ほっと一息ついて寝の体勢に戻ろうとしたけど、そのまま私の身体から離れていくと思われた手は、私のおなかでぴたりと止まった。



「いてぇの?腹。」



心配そうなサボの声と予想外の質問に、今度は私の反応が一瞬止まる。
いつもは生理痛なんてそんなにないけど、そういえば以前立てないくらい痛くなったことが一回だけあった。サボはきっとその時のこと覚えていてくれていたんだと思う。



「……痛くないよ」
「ならよかった」



背中越しに感じられるサボの安堵した雰囲気に、先程よりも強い罪悪感が生まれる。


ミアは自分の睡眠のためにうそつきました。ごめんなさい。


と、無理矢理心の中で懺悔してこの罪悪感を振り切った。
サボには申し訳ないけれど、この忙しい時に睡眠時間を削るなんてアホだ。
明日も私は忙しいし、サボみたいに体力有り余ってるわけじゃない。



「おやすみ、ミア」
「んー、おやすみサボ」



ちう、と後ろから私の頭にキスをする。
それにふふ、と笑って私は抱いてるクッションを身体に押し付けた。

今度こそ、上手く眠れそうだ。






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