top
name change
世話焼き彼女の幸せ




「エースさんエースさん!朝頼まれていた縫い物終わりました!今度から破らないように気をつけてくださいね」
「あ!エースさん!今日の鍛錬はもう終わりですか?はい、タオルです!」
「今日もよく食べますね、エースさん!あ、口についてますよ。取ってあげますね」
「もーエースさんまた寝てるっ!毛布持ってきますっ」
「洗濯物畳んでおきましたからね、エースさんっ」



先日ミアから想いを告げられて、俺もミアの事は嫌いではなかったし、特に好きな奴もいなかったから付き合う事にした。
その日から、毎日笑顔でにこにこと、俺に話しかけ世話を焼いてくる。
ぱたぱたと俺の周りを走り回り、まるで忠犬のようだ。コイツも俺の世話ばっかして嫌じゃねぇのかな。実際助かってはいるけど、色々してもらうために彼女にした訳じゃない。



まぁ、色々思うことはあるが、つまりは、…これ、彼女じゃなくねぇ?



「あ、エースさん隊長会議おつかれさまです!おやつでも食べますか?」
「………」
「エースさん?」
「お前さ、…なんつーか、母親みてぇだな」



実際母親なんていた事ねーけど、いたらこんな風に世話を焼いてくれるんじゃないかと思い言ってみる。
言われたミアはと言うと、笑顔のまま石のように固まっていて何も言わない。
つんつんとミアの頬をつつき、意識をこちらに向けさせる。



「…エースさん、それって、本気で言ってます?」
「本気っつーか、世話焼きすぎだろ」
「め、迷惑でした?」
「そんなことねぇけど、お前、俺の彼女なんだろ?」



一瞬目を見開いて、頬を染めながら小さな声ではいと返事をする。
そうそう、こういう雰囲気だろ、恋人ってーのは。



「あんま世話焼いてくれなくてもよ、俺の彼女なんだからそばにいてくれてりゃいいんだよ」



ぽんとミアの頭に手を乗せ、ニカッと笑いかける。



「でっ、でも、私がエースさんの世話を焼きたいんですけど、それはダメですか?」
「、ミアが嫌じゃなけりゃ、それでも構わねぇが…」
「よかった、です…!」



ふわりと笑うミアは綺麗だ。



「私、本当にエースさんのこと、好きなんです。だから、出来る事なら何でもしてあげたいって思っちゃって。だって今まで見てるだけだったから、その、彼女、に、なって、近くにいれる事が嬉しいんです」



照れたように言う彼女に、どくりと胸が鳴ったのに気付く。
本気で好きになってしまいそうだと柄にもないことを思った。


だってよ、こいつがこんな風に幸せそうに笑う奴だったなんて、知らなかったから。

他の誰でもない、俺が、この表情を引き出しているんだと思うと、俺は何とも言えない優越感に浸った。









| TEXT |




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -