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あ!と愛しい人を見つけてハイパー速度で駆け寄る。
第一声は怒声。もう慣れてしまったそれを私はいつものように流すのだ。



「パウリー!」
「おーミア、ってお前!また性懲りもなくハレンチな格好しやがって…!!」
「おはよー、今日も元気いいね」
「てっめ、無視してんじゃねぇよ!」



ミニスカ如きでハレンチなんて、何時代の人間だ。

私とパウリーは付き合って随分立つ。のに、全然手を出して来ないから、ついに私は強硬手段を取ったのだ。正直、出すとこ出したら流石のパウリーもって思ってた。けど私の期待は外れて、パウリーはそれでも手を出して来ていない。とんだチキンだよパウリーくんは。



「パウリーこのくらいで顔真っ赤にしてたらこの先持たないよ?」
「ばっ!とっ、とにかく着替えて来い!今すぐだ!!」
「いやよ。家まで遠いし。」
「ヤガラ乗ったらすぐだろうが!!大体ミアはいつの間にこんなハレンチ女に成り下がったんだ!」
「えー、ミニスカ嫌なの?」



うっ、と真っ赤な顔で返答に詰まるパウリー。このむっつりさんめ。いやある意味オープンだけど。



「私のこの格好の意図に、なんでパウリーは気付かないかなぁ?」
「い、意図…?」



いまだ頬を赤らめたままのパウリーは恐る恐る私の言葉を聞き返した。



「うん。意図。知りたい?」
「お、おう…」
「それはね、パウリーがいつでも気兼ねなく私を襲えるように私なりの配慮だよ☆」
「ばっ、お前………!」



ばちこーん☆とウインク付きで可愛い子ぶってみる。
スケベなくせに恥ずかしがり屋で奥手って、身体に悪いと思うわけよ。っていうか私がパウリーに愛されたくてたまんないだけだけど!これを欲求不満と呼ぶのならそれはそれで仕方ないけど、ぎゅうだけじゃ物足りないんだもん。ハレンチ上等だ!



「お前っ、女なんだから少しは考えてもの言えよ!」
「えー、だってパウリーがチキンなのがいけないんじゃん」
「グッ…、だ、だからってこんな格好しなくても、」
「はいはい、魅力ない女が色で足掻いてすみませんでしたねー」



冗談でそう言ったら急にパウリーが顔をしかめた。
赤くなっていた顔も渋い顔へと変化する。あれなに今の怒る所?
めんどくさ、と少しだけ思った時に、パシリと手首を掴まれてドキッと胸が鳴った。



「な、なに」
「誰もミアに魅力がないなんて言ってねぇだろ」
「えっ、うん。ごめん」



そう言ってもパウリーさん、あなた現に今私に手を出していないじゃないですか。



「お前は、何をそんなに急いでんだ」
「…別に、急いでるつもりはないけど、」
「じゃあ普段通りの格好でもいいだろ」
「何で?これ可愛くない?」
「……かわいくない」
「えっ、マジ!?」



そうきたか!正直そう来るとは思わなかった!
結構似合ってると思ってたんだけどな。ショックだ。てゆうか似合わない格好をして嬉々として会いに行った事が恥ずかしすぎて死にたい。



「あはは、じゃあしょうがないね!今日は大人しく着替えてくるよ」
「おう、そうしろ」
「この間買った水色のミニにしてくる!じゃ!」



パウリーの言葉が胸に突き刺さって足早にその場を離れようとしたけど、掴まれていた手を離してくれずに私はアホみたいにまたパウリーの元へと戻ってしまった。



「ちょ、なに?」
「ミア…、水色のミニってなんだ…」
「え、だから、この間新しく買ったの…」
「だめだ。それも似合わねぇから着るな」
「ええっ、まだ誰にもお披露目してないやつなんだけど、」



見てもいないのになぜ似合わないとわかるんだ。
そんなむちゃくちゃな。いっその事下半身丸出しにしたろか。



「だーかーら。んな足丸出しな格好すんなっつってんだよ」
「……。」



投げやりにそう言ってそっぽを向いたパウリーの顔はまた仄かな赤に戻っていた。
なーんだ。そゆこと。



「パウリー、君に選択肢を与えよう」
「ああ?…なんだよ、」
「ミニを着て欲しくないのは、いち、本当に似合わないから。に、ハレンチすぎて心臓に悪いから。さん、生足に発情してしまうから。さてどーれだ?」
「……いちは有り得ねぇ」



ってことは、とりあえず似合ってはいるってことで。ほっと胸を撫で下ろした。



「じゃあ、2と3どっち?」
「…………」
「…まさかどっちも?」
「………おう。あと、……よん、他の奴らに見せたくねぇから、だ」



こっち見んじゃねぇよ、と袖で顔を隠しながら真っ赤になるパウリーにつられて、私の頬も紅潮する。
なんだよそれ。反則じゃないか。



「だっ、だからもうそんなハレンチな服着るんじゃねぇぞ!!」
「うん、わかった」



素直にそう頷いたのは、緩む口を隠すために下を向く他私に選択肢がなかったからだ。
仕方ないから、明日からミニスカ着るのはやめてあげよう。



「わかったら、さっさと着替えて来い」
「はぁい」



きゅっと口元を閉じようとしても、漏れてしまう笑みはどうしようもなくって、だらしない返事になってしまった。
ヤガラちゃんに乗って、速攻家に帰って着替えよう。
そう思って踵を返すと、後ろからパウリーに呼び止められた。



「おい、」
「ん?」
「まぁ、なんだ。服、もったいないだろうから、家でなら、着て良いぞ」
「……」
「……」
「…、いひひ、パウリーのスケベー!」



馬鹿だなぁ、パウリー。
でもそんなパウリーが好きで、今度は緩む口を隠しもせずにそう叫び返した。











(あ、パウリー。)
(なんだ?)
(今日私、パウリーの好きそうなセクシー下着着てるから(ぐっ))
(…!(グッ、じゃねぇぇぇ!ミアがそうやってプレッシャーかけるからハードル上がるんだろぉがぁぁぁぁ…!))



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