top
name change
あなたの熱で


冬島の近くらしく、最近気温はぐんと下がった。
夕食の仕込みをしているサッチの隣で、愛のたっぷり入ったサッチお手製のココアを飲む。
仕込みの手伝いが出来たらそれが一番いいのだが、なんせ私は不器用グランプリをとれる程手先が不器用なので、サッチどころがクルー全員にお手伝いを断られるのだ。



「さみぃなー」
「冬島近いらしいからね」
「ミア先に部屋行っててもいいぞ?」
「ううん、サッチ待ってる。」
「はは、わかった。あと少しだから、いい子に待ってろよ」
「はーい」



ココアも飲み終わり、しばらく経った頃、仕込みが終わったらしい。
タオルで手を拭きながらサッチが私の方へ歩いて来た。



「終わり?」
「おう」
「おつかれさまー!じゃあ行こう」
「どっち?」
「サッチの部屋がいい」
「おっけー」



冷え込んだ廊下を、サッチの部屋に向けて歩く。
サッチの手はポケットに突っ込んだまま。寒いのかな…



「ねーサッチー、手繋ごうよ」
「今俺の手冷たいからだーめ」



そりゃさっきまで水触ってたからね。



「いいじゃん、あっためてあげるよ」
「ん、じゃああっためて」
「…ッッ!」


私が笑顔でうんと返事をする前に、サッチは素早くポケットから右手を出し、私の首の後ろにそれを置いた。
何の前触れもなく訪れた氷のような冷たさに、声も出ずにビクリと体が跳ねる。


心臓止まるよ!!



「冷たいサッチのあほー!」
「だから言ったでしょーが」
「いやでも首は反則でしょ」
「ごめんねー。暖かそうだったからつい」
「謝る気ないでしょ」



ぷりぷりと怒っている間にサッチの部屋に到着してしまった。
結局、手はつなげなかったなぁ…

2人で中に入り、サッチが後ろ手でバタンとドアを閉める。



「でもさ、俺あっためる方法知ってんだよね」
「なに?」



ドアを背に私を見る。



「こうすんの」



サッチは、ポケットから出した手で私の頬を包んだ。
ひやりとした感覚に、ゾクリと背筋が粟立つ。
でも声を出す間もなく、彼は私についばむようなキスを何度も落とした。



最後にちゅっと、音を鳴らして色っぽい目で私を見る。



「ほらな、お前の顔、すげー熱ィ」
「…ばか、」
「もっと暖めて、」



火照った顔にサッチのひんやりした手が気持ちよくて。
断る間もなく、またキスが降ってきた。


サッチの手は頬からするりと場所を移動し、髪を掻き揚げ左手は後頭部、右手は背中へ。

そのまま私の体を抱き支えるように、ベッドへとダイブした。





(まーた流されちゃったな。………嫌じゃないけど。)







← | TEXT |




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -