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男性不信1歩手前 <サッチ編>






×月5日晴れ

ミアと罰ゲームで風呂に入った。
途中までは可愛い妹との風呂を満喫していたんだが、何をどう間違ったか、俺のマグナムをミアに見られた。絶叫して痛くねぇ顔面パンチをもらって少し怯んだら、回し蹴りで俺のマグナムを蹴飛ばして走って逃げていきやがった。風呂場でのたうち回る俺マジせつねー。女に見られた日に嬌声以外の叫び声を聞くなんてヘコむわ。しかも蹴られるし。
なんとか持ち直して服着て風呂でたらナミュールにくどくど2時間説教くらうし。足痺れるってんだよ全く。

つーか折角ティラミス作ったのにミア食いに来ねぇし。一人寂しく食っちまったつうの。あのアホ妹。

あーあ。サイテーな被害だなったくよー。
明日はいーことありますようにー。






×月6日晴れ

今日も変わらねー一日でした。
つーか今日朝立ちしなくて、昨日蹴られたからかと思ってビビった。EDとかマジ勘弁なんだけど。とか焦ってお姉さんが載ってる雑誌見てたらちゃーんと元気になってくれて一安心。俺もまだまだ若いねー。







×月7日曇り

今日1日ミアを見ていない。今日だけじゃなくてあの日からずっとだ。
昨日はエースに食われたから忘れてたけど、3日連続でティラミス作って待ってやってんのに、来ねぇし。
なんだよ、アイツまだ拗ねてんのか?つーか食堂でも見ねぇって、ちゃんと飯食ってんのか?
んだよ可愛くねぇな。あーあ、今日もティラミスはエースの腹ん中か。







×月8日晴れのち飴

大量に飴が降ってくれて、スイーツゲットで気分上がってた時にビスタに捕まった。
アイツ怖ぇのマジで!!俺のマグナムマジで切り落とされるかと思ったわ。結局クソ痛ぇ鉄拳くらっちまったし。理不尽だぜマジで。俺の大事なリーゼントが割れたらどうしてくれんだよビスタの野郎。
つーか知らなかったんだけどミアは俺だけじゃなくて船の男全員避けてるらしい。全員て無理あんだろと思ったが、アイツは何でもやるからな。あー、くそ。喧嘩すんなってなんだよ。ミアがいつも通りにすれば俺に被害はないんだっての。

…今日もあの馬鹿ティラミス食べにこねーし。ナース達に持ってってやっか。







×月9日虹時々晴れ

よーハルタ!晩飯何か食いたいもんあるか?って聞いただけなのに右ストレート食らった。しかも結構マジ。くそいてーのなんのって。この痣1週間は消えねーんじゃね?
しかもまたミアかよ!不可抗力だっつーの。どうしろってんだよ俺に。ちゃっかり晩飯のリクエストだけは忘れねぇしよ!

ったく早くティラミス食いに来いアホ妹!毎日作るこっちの身にもなれ!
つーか俺の事避けてんじゃねーよ!!







×月10日 雨

お前の左頬、いい色してんじゃねぇか、ってマルコに言われて、その直後に右頬蹴り飛ばされた。そのまま船の外までぶっ飛んでったから、帰りに夕飯捕まえてきたけど。
ねぇ何これ理不尽すぎじゃね?俺キレていいよね?それとも俺が悪いのか?

そんな感じで一人食堂でやけ酒してたらラクヨウに慰められて男泣き。わかってくれるのはてめーだけか。
ティラミス振る舞ってやった。どうせミアは来ねーしな。いつも飲んでるヤツより上等な酒も振る舞ってやった。そしたらラクヨウの野郎、俺にこういうわけよ。

あ、わり。ミアがお前殴りたいっつったら手伝う事になってんだわ。

テメーはどっちの味方だ!!







×月11日 春一番

ジョズに言われてちっせぇマフィン作ってやった。
ミアに渡してきたって報告聞いて、笑って喜んでたって、なーんか面白くない。俺のティラミスは食いに来ないくせに。あの馬鹿、二度と一生頼まれてもティラミスなんて作ってやんねーからな!

…いや、作るけどよ!!







×月12日 夏晴れ
あちーあちーと魘されて目が覚めたら俺のベッドでエースがうじうじ寝てやがった。目が覚めて男とベッドとか、悪夢か。まあミアと会わなくなってから確かに夢見は悪ィけどよ。
この1週間で嫌という程わかった。ホントに、俺が全面的に何もかも悪かった。だから頼むから「どーせ俺はミアに嫌われてんだ。イモムシ以下だよ」とかうじうじすんのヤメロ。いっその事殴ってくれた方がマシだ。

しかも今日はこれだけじゃ終わらなかった。思い出すだけで溜息だ。
昼過ぎにナース達に泣かれた時は本気で参った。あの馬鹿、よりによって親父まで避けたらしい。ありえねーだろ。どうにかしろって、アイツ会ってくんねーし。ティラミスも毎日作ってんのによ。








***








「あーあ!」



そこまで書いてペンをテーブルの上に投げる。
マジで調子でねえ。
別にアイツの処女奪ったわけでもねーし。そこまで悪い事したとは思ってねーけど。でももしアレがミアの初めてだとしたら、つーか初めてだろうけど、まぁ、なんつーか俺が乙女の夢をぶっ壊したのだけは間違いないわけで。


さっきここに寄ってくれたイゾウはミアは思ったより普通だったって言っていた。
イゾウには会ったけど、俺には会ってくれねぇのか。



「どうやって謝りゃいーんだ…」



弱々しくそう吐いて、そのままテーブルに突っ伏した。右頬を下にしたら思いっきり蹴り飛ばされた頬が痛んだ。
しばらくそのまま目を瞑っていると、食堂の入り口の方から控えめな声が聞こえる。酷く懐かしく感じたそれに幻聴かもと思いながらも勢いよく顔を上げた。



「っミア――――!!!!」



この1週間、俺を避けていたヤツが自分から姿を見せた事に、一瞬夢かと思うが、痛む両頬がそれを否定してくれて今初めてハルタとマルコに感謝した。…少しだけな。

俺を見たミアは一瞬目を見開いて、俺の両頬の心配をしてくれる。だけどその気持ちだけで俺は嬉しくて「んなもん気にすんな」と笑顔で答える。
なんだ。俺、思った以上にコイツ足りてなかったんじゃねぇか。今更だが、一人じゃなーんも出来ねえこの妹の存在のでかさに気付かされる。
と同時に何故自分が避けられるようになったかを思い出して、急に心の中に焦りが生まれる。



「それよりよ、お前、その、俺と話して平気なのか?…嫌いにとか、」
「きっ、嫌いじゃない!その、びっくりしただけ…。サッチ、その、ごめんね、色々…」
「いや、俺も悪かった。不可抗力とはいえ、まさかミアがあんななるとは…」
「えへへ、ごめん」



ミアが謝る必要なんて全くないが(いや、少しはあるか)、とりあえずミアと普通に喋れている事、仲直り出来たことに安堵する。
そこでこの1週間欠かさず作ってきたティラミスの存在を思い出して、ミアに食うか聞くと、キラキラとしたミアらしい表情でイエスの返事をするもんだから、やっぱコイツはこうじゃなきゃな、なんて素直に思ってしまった。








(やっぱサッチのお菓子は美味しいね!幸せ!)
(俺はやっとミアに食べてもらえて幸せだけどな(ひひ))
(実はねー、さっきもナースの皆とお茶してきたの)
(お前の胃袋すげぇな。夕食食べてデザート2回目か)
(余裕余裕。サッチのごはんならどんだけでも食べれるよ(にっこー!))
((…あ、ヤベ。妹フィルター発動しそう、))





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