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男性不信1歩手前 <親父編>





今日も親父様の体調は良好。
体調管理をしている私たちも嬉しい。
だけどそんな親父様は今気になっていることがあるみたいで。
そのために、今日はミアを呼び出しているんだって。
いつもは親父様が誰かを呼ぶ時はもちろん席を外すんだけど、今日はこのままいてくれってことで、私を含めたナース3人が部屋にいる。



「もうすぐミアが来る時間ですね」
「そうだ、お茶でもいれましょうか?」
「そうだな、そうしてくれ」



ぱたぱたとお茶の準備に駆けていく同僚を見送って、残った私たちは親父様との会話を楽しむ。



「親父様はミアを呼んで何をお話されるんですか?」
「何ってほどじゃねェが、元気な様子が確認出来りゃあそれでいい」
「ふふふ、今回は一筋縄ではいかないかもしれませんよ」
「グララララ、望む所だ」



いつものように豪快に笑った親父様に私たちも微笑む。
ミアに親父様からの伝言を伝えたのは私。“元気な顔を見せに来い”それだけ。でももちろん私は絶対に来るように釘を刺しておいたけど。


お茶を用意しにいったナースも戻ってきて、あれだけ皆を避けているミアがどんな風にやってくるのかと楽しみに待つ。

すると、時間ぴったりで親父様の部屋のドアが3回ノックされた。



『おやじー。ミアだけど、』



いつもはノックして顔を覗かせてから入ってくるミアなのに、今日はドアの外から入る前にしっかり声をかけている。そんなミアに微笑ましく私たちが笑っていると、親父様は「入れ」とミアを中へと促した。

かちゃりとドアノブが回って、ゆっくりとドアが開く。
わくわくと期待した表情で私たちが待っていたら、ドアの隙間からミアがちょこんと顔を覗かせた。



「親父!私元気だよ!」



そう言ったかと思うと、すぐに顔を引っ込めてバタンとドアを閉める。ぱたぱたとドアの向こうでミアが駆けていくのが聞こえるけど、私たちはぽかんと口を開けたままその場を動くことが出来ない。

まさかあの子、これで会いに来たってことにしてる…?

そんな考えが頭を過ったけど、すぐにハッとして親父様を見上げる。すると、同じ気持ちなのか親父様も固まって動いてない。とりあえず他のナースと顔を見合わせて、おそるおそる親父様に話しかけてみた。



「あ、あの、親父様…?」
「はっ、恥ずかしがっちゃってるんですよあの子!」
「もー、やだなぁ!ミアったら!年頃の女の子は難しいですね!」



3人で冷や汗を流しながら親父様に話しかける。

あの子、後で捕まえたらナース室行きね!

そう心に誓ったところで、親父様がいきなり笑い出して私たちもほっとする。



「グララララ、元気そうでなによりじゃねェか!」
「全くもう、ミアったら、隊長達だけじゃなくて親父様にまで緊張しちゃうんだから」
「心配しないでくださいね。私たちもちゃんとフォローしておきますから!」
「そうだな、頼んだぞ、」
「もちろんです!親父様はいつもみたいに笑ってどーんと構えていてくださいな」
「グラララララ!そうさせてもらうぜ。グラララ!グラララ、グラ……、…………。」
「えっ、」



いつもみたいに笑っていると思ったら、急に元気がなくなってしまって、終いにはしゅーんと黙ってしまった。
あの親父様がしゅんとしているなんて…!不覚にもきゅんとしてしまったではないか。
隣を見ると、どうやら他のナースも同じ気持ちのようで。
だけどまさか親父様が空元気だったなんて。

早く、親父様を元気づけてあげなきゃ!









(親父様!あのっ、あのっ、ミアは大丈夫ですよ!)
(今はちょっと混乱しているだけだと思うんです!)
(明日になればまたいつもみたいに親父様に会いに来てくれますよ!)
(……。(しゅーん))
((ひーん!あわあわあわ!))
((ミアの馬鹿ぁぁぁっ!!))




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