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男性不信1歩手前 <エース編>





皆ミアが構ってくれねーからって、船がぴりぴりしてる。特にビスタのヤツがヤバい。
俺も、別に寂しくなんてねーが、いつも一緒に悪戯考えたり昼寝したりしているヤツがいないのは何か調子狂うっつーか、なんつーか、イライラする。



かちゃり、と静かにドアを開けて、暗闇の中部屋の中に滑り込む。



昼間話しかけようとしたって引き止めたって、どうしたって逃げられちまうんだから、どうせ話をつけるなら、と、ミアが寝静まってから部屋に来た。
ぐっすりと毛布にくるまって寝るいつもと変わらないミアに、首を傾ける。

なんだって、俺まで避けられなきゃいけねーんだ。サッチはともかく、俺は関係ねーじゃねぇか。

そんな思いが頭を過って、無意識にしかめっ面になる。
そのままミアのベッドの前に座ると、毛布に覆われた肩をつんつんと突いた。



「…おい、ミア」



少し身じろぎをしたけど、まだ起きる気配はない。
もう一度、先程よりも強めに肩を突く。すると、「んんー、」と声を出して毛布を更に引き寄せた、と思ったら、急にパチリとミアの目が開いた。
急に開いた目に驚いて心臓が跳ねたが、それよりも、その瞬間にがばりと勢い良くベッドから起き上がったミアに心臓が飛び出るかと思った。



「お前、いきなり起き上がんなよな、。ビックリするだろうが」



すかさず文句を言うけど、当の本人はぱっちりと目を開いたまま俺を凝視する。ベッドの端っこから何も言わずにこっちを見るミアははっきり言って怖い。つーか居心地悪ィ。
なんだよ、見つめてんじゃねぇよ。照れるだろ。
とかなんとか、見当違いなことを考えていると、目の前のミアの顔はみるみるうちに歪んでいって不細工な面になる。かと思ったら、その両目からぽろぽろと涙が零れだしていた。
あまりの反応に今度はこっちがぎょっと目を見開いてしまう。



「なっ、何泣いてんだよミア!」



女が泣くこと自体俺にとっちゃあ苦手事項だ。妹だけど、こいつだって生物学上では女。こいつがよく嘘泣きすることは知ってるが、今日のこれは嘘泣きには見えない。

なんだよ、ちょっと寝てる間に部屋に入っただけじゃねぇか。

内心は焦っているけど、悪態尽きたいのも本当で。
とりあえずこの泣き虫馬鹿を落ち着けようと、手を伸ばした。



「やっ、やだもーばかぁー…!」



だけどその手はあっさりとミアに払われてしまって。予想外のミアの反応にツキン、と胸が痛んだ。

なんだよ。折角俺が慰めてやろうと思ったのに。

むっとするよりもツキンと痛んだ胸の方が気になってしまって。
容赦なく手当り次第に目覚まし時計やらぬいぐるみを投げてきたミアに反応を示すこともなく。(だって身体突抜んだから、反応しようもねぇし、)
尚も零れる涙を拭う手伝いもせずに「ごめんな」と言い、そして「お邪魔しました」と無駄に礼儀正しくお辞儀をしてミアの部屋を出た。



そうか、ミアは俺のことも嫌になっちまったのか。
サッチのバカヤロー。


とぼとぼと廊下を歩く。しょぼんとしてしまっているのは自覚済みだ。
自信と誇りがいっぱいの俺の背中も、今日だけはしゅんとしちまってるに違いない。






(あーあ、肉くすねてこようと思ったけど、なんか食欲ねーな、)





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