うそつき
![](//img.mobilerz.net/sozai/1641.gif)
サッチが死んだ。
船は悲しみに溢れ、モビーまでもその色に染まる。
犯人は、2番隊のティーチ。この船に乗って長い彼。私も何度も世話になった。
ふざけて笑って、不味いチェリーパイを一緒に食べて。
家族が、家族を殺すなんて信じられなくて。
1600人の家族が、誰一人例外なく、犯人の名前を聞き返した。
そして2番隊隊長の馬鹿はその犯人を追うと言い張る。
「行くなって言ってんでしょっ!」
「おとしまえは必ずつける」
「おや、親父だって、いい、って、言ったじゃん…!」
「それでも、行かなきゃならねぇ」
「……うぅ…、なんで、よ」
「……」
「行かないで、よ…」
「それは、できねぇ」
「ひ、とりに、しないで…」
「………、わかってくれ」
「…嫌いに、なっちゃうからね」
「……ばーか」
「ばかは、グスッ…そっちよ」
「必ず帰ってくっから、待ってろよ」
「…………うん」
「だから、泣くなよ」
「………うん」
「お前はいつでも笑っててくれ」
じゃあなんであんたが苦しそうに笑ってんのよ
サッチが死んで、犯人が自分の隊のやつで、責任感じて一番苦しんでいるのはあんたじゃない。
誰よりも家族を大切にして来たあんただから、行ってほしく、ないんだよ…
*
親父とエースの墓の前に立ち、船を出る前のエースとの会話を思い出す。
「こんな想いさせといて、笑ってろとか、横暴だよ……」
でも、それがエースの望みなら、私ずっと笑ってるよ。
エースは死ぬ前微笑んでくれたし。
でも、だから。
今日だけはあなたの前で泣く事を許してください。
あなたを想って泣く事を、許してください。
明日からはまた、あなたの太陽のような笑顔を思い出して、私も笑うから。
(本当に、愛してた。これからも、あいしてる)
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