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堕ちる





昼だったか、夜だったか。
それすらもわからなくなる程、目の前の男に支配される。



「…、ん、はぁ…」



角度を変えてしつこく何度も唇を貪る。
優しくねっとりと舐めとるようなキスは私の頭をぼうっとさせるには十分。



今日は何をしたっけ。
どれくらいの時間が過ぎた?
何で、サッチさんとキスなんてしてるんだろう。



そんなことが頭をよぎるけど、その度に絡めとられる舌に意識を奪われ、次の瞬間には何を考えていたかなんて忘れてしまう。

小さな部屋の中に響く二人の熱い吐息と、二人の唾液が絡み合って紡ぎだす卑猥な音に嫌でも意識が向いてしまう。
早く終わって欲しいけど、ずっと続けていたい。
自分の中の矛盾する思考を何度繰り返しただろうか。
頭の芯が完全に熱で犯されてしまう頃、長い間つながっていた2人の唇は、名残惜しそうに糸を引きながらゆっくりと離れた。

後に残るのは荒く響く呼吸音。
息を整えることもしない二人はまだ、お互いの吐息が触れる距離にいる。



「、はぁ、サ、チさん、…も、だめ……」
「……でも好きなんだろ?」



色気を含む目で見つめられ、そう囁かれる。
否定は、出来ない。
サッチさんなら何だっていい。何だって好き。
たとえ恋人同士でなくても。…たとえ、サッチさんに彼女がいても。



「もっと、しよ?」



何もかももうどうでも良い。
目の前のこの男さえ、手に入れば、。
だから私は、考えることも放棄して欲望のままにお願いした。



「…っ、可愛い奴…」



先ほどとは変わって、噛み付くようなキスに一瞬怯む。
けどすぐに私もサッチさんの首に腕をまわして、それに答えた。




(最低な女に成り下がったことだけはわかる。だけど、…どうしよう。すごく幸せ)






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