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追っかけ魂





はわわわわわ!
るるるるるふぃさまが目の前にいらっしゃる!



ローグタウンで私の心を打ち抜いた麦わらのルフィ様を追っかけるため、1年前に幼なじみのバルトロメオと海賊になった。
腐れ縁のバルトと海に出たのも、バルトクラブなんてダサイ名前の海賊団に入ったのも、 ただひとえにルフィ様に会いたかったから!
あの田舎っぺバリア船長が大のルフィファンであることと(だってルフィ様への愛の話についていけるのはクソロメオだけだ)、こいつにくっついていったらいつか絶対ルフィ様に会える気がして着いて来たけど、私の判断は間違っていなかった。



コロシアムの柱の端からおじいさんの格好をしているルフィ様を盗み見る。
私はバトルには参加していないけど、バルトロメオが参加してるからこっそり中に入り込んでいる。意外とバレていない。



本当に、長かった。
あんの阿呆船長のおかげで海賊の中でもサイアクのイメージを頂き、ついに新世界までやってきた。
2年間もルフィ様は姿を現さなかったけど最近になってまた名前を聞くようになって。ああでも2年前のルフィ様の心情を思うとぐすん。海水よりも多くの涙を流せそう。


そんなとき、今回ドレスローザで開かれるコリーダコロシアムのバトルロイヤルでルフィ様のお兄様が召し上がられたメラメラの実が手に入ると聞いた。
もちろん即バルトに報告して、即参加決定。それで今バトル中。
私は身の程をわきまえているので参加はせず、バルトに戦いを一任。もし負けて帰ってきたらコロス。
そしてやつが勝った瞬間メラメラの実をバルトから奪い私がルフィ様に差し上げる予定になっている。


でもでもでも!
ああ神様仏様!そんなこと今はどうでもよくないけど後回しよっ!戦いはバカロメオに任せる!
だって、まさに今!目の前にルフィ様がいらっしゃるんだもの!
はっはっは!愛故に、バルトロメオよりも先に私がルフィ様に気付いたのだ。
変装していたって私の目はごまかせない。

せっかく周りに誰もいないし、これはもう話しかけるしかない!!
思いついたら即行動!これ大事!




「ああああのあのあのの、」
「ん、なんだお前?」



んぎゃあああああ生ルフィ様のお声!!!



「む、む、麦わらの、ルフィ様、ですよね?」
「お前俺の事知ってんのか?」
「はいもちろんです!!」
「そーかー。で、おまえ誰だ?」
「あ、はい!わ、私、バルトクラブ海賊団情報係のミアといいますっ」
「ふーん。…あ!!やべぇ、おれ今おれじゃねーんだった!」
「あっ、変装中なんですよね!ご事情はわかりませんが、大丈夫です!今は、ルーシー様ですよね」
「ああ、そうだ!」
「ではお名前は呼ばずにルーシー様と呼ばせていただきますっ」
「助かる!お前、いいやつだな!」
「はわわわわわ笑顔もミラクル最高に素敵ですっっ!」



あ、あっちでなんか楽しそーなことやってる、とわくわくした目で騒がしい方を見ているルフィ様はこちらを向くと、「じゃーおれ行くな。またなミア!」と言って一瞬で遠くて行ってしまった。



“またな、ミア!”



頭の中で何度も響く声に反応が遅れ、ルフィ様が走り去った方を惚けた顔でしばらく見つめる。



たった数秒の会話。
ただの、熱狂的なファンだったはずなのに。
どきどきといつまでも波打つ胸に戸惑いを隠せない。





(んんん、よくわかんないけど、とりあえず、バルトロメオには内緒にしとこう。)








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