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リハビリテーション





ぐすぐすと泣く私の周りには華やかで色香を纏うナース達。



「それでそんなに皆を避けてたのね」
「ミアってば可愛い!ホントお子様なんだから。虐め倒してあげたいわ!」
「それでそれで?サッチ隊長のどうだったの!?」



身を乗り出して聞いて来たのはサッチの事を好きと言ったナースさん。



「ど、どうって。なんでそんなこと聞くの?思い出したくもないよ」
「だって大事な事よー?」



くすくすと笑う彼女だけど、本当になんでそんな事を知りたいのか理解に苦しむ。
クッキーを差し出してくれたので、それを食べながらもぐすぐすと鼻をすすった。



「で、それを見たのがショックすぎて船の男共を避けてるってわけね。よりによって親父様まで」
「う、…だって…」
「心配してたわよ?」



親父には悪いと思ってる。けど、初めて見たんだもん。男性恐怖症になるかと思うくらい、びっくりしたんだもん。何か色々とショックだったんだもん。
そりゃ、私も男女がそういう仲になったら、どんなことするかとかは、大体知ってる。けど、私はまだまだ早いと思ってたし、色々夢だって見てたし、……でもあんなの見たら、もう一生、夢見てた甘い恋愛なんてしたくないと思った。



「でもさ、見た?隊長達」
「見た見た!」



クッキーをつまみながら、愛らしい笑顔でくすくすと話をするナースさんたち。
どうやらあの後の話をしているみたいだ。



「ビスタ隊長はミアが避けるから、凄く落ち込んでるし」
「マルコ隊長は普段通りに振る舞ってるけど何か元気ないし」
「ハルタ隊長はことあるごとに“ミア知らない?”って聞いて来て可愛いし」
「ジョズ隊長はおっきな体で常にきょろきょろ周りを見渡してミアを探してるし」
「あ、エース隊長なんてつい抱きしめちゃいそうになったわ!だって“ミアは俺達のこと嫌いになったのか?”って子犬のように聞いて来たのよ?」
「なにそれ可愛いー!」



きゃっきゃと盛り上がるナースさん達に、自分が相当悪い事をしているような気分になる。



「まあさー、ミアも初めて見たんならそりゃショックだったかもしれないけどさ」
「女の子に胸があるみたいに、男にもついてんのよ」
「それにアレはアレなりに結構役に立つのよ!」

「…でも、なんかびっくりしたんだもん」



ぽつりとそう言うと、「ミアにはまだ早かったのね」と言ってナースさんがぎゅうっと抱きしめてくれる。



「でも正直、ミアは別にこういうの平気だと思ってたわ」
「え、なんで?」
「だってミアは巨人でも魚人でも人魚でも小人でも、手が長かろうが足が長かろうが、気にした事ないでしょ?」
「うん。皆楽しい人たちだし」
「だから、別に、今更男に何がついていようが気にしないんじゃないかって思ったのよ」
「……」



確かに、そう考えれば気にする必要なんてない気がしてきた。
股の間になんか変な物がくっついてる人種だと思えばいいのか。



「…皆に謝った方がいいのかな?」
「謝る必要はないわよ」
「ただ隊長達と今までみたいに話せばいいの」
「難しいかもしれないけど、私頑張るよ…!」
「イイコイイコ」



にっこり笑顔を向けて、優しく頭を撫でてくれる。
大丈夫かなぁ。また前みたいに皆と話せるかなぁ?


少しだけ不安になるけど、ナースさんの天使の笑顔を見て勇気がわいてくる。
ありがとう、とお礼を言って、その足で一番に会わなきゃいけない人がいるキッチンへと向かった。















(…あの、サッチ?)
(っミア――――!!!!)
((ぎょっ)ちょ、サッチその顔どうしたの!?)
(え?んなミアが気にすることの程でもねぇって)
((もしかして、皆にボコられた…?))
(それより、お前、その、俺と話して平気なのか?嫌いにとか、)
(き、嫌いじゃない!その、びっくりしただけ…。サッチ、その、ごめんね、色々)
(いや、俺も悪かった。不可抗力とはいえ、まさかミアがあんななるとは…)
(えへへ、ごめん)
(あ。そういや、ティラミス食う?)
(…っ、食うっっ!!(きらきら))
((やっぱこいつが笑ってねぇと落ち着かねえな))




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