血濡れのピーターパン.
06


ダンッとビルの屋上の床を踏み込み跳ぶ。

今、俺達は速度を落としつつビルの上を走っていた。

下を走るウォリックの車を確認しながら進む。

目的地は目前、あと30メートルと言うところか。

ダンッ、もう一度ビルの屋上を蹴った。

今度は先ほどとは違い真下に落ちるようにして狭い路地へと体を滑り込ませ、タタンと二つの着地の音が重なる。


「ウォリックと合流して作戦会議だな、どうも様子が可笑しすぎる」


コクりと頷いたニコラスを確認して走り出す。

誰かが動いている。

俺たちの敵になるか味方になるか全く見当もつかないやつだ。


路地から出てウォリックの車と並走。

ジェスチャーで止まるよう指示すると車はすぐそばの道の端に止まった。


「どーしたのよマリオムちゃーん?ニックも怖い顔しちゃって」

「周りの様子がおかしい。一般人の数が不自然なくらい少ないんだ、なにかあるとしか...」


そう口に出すと同時、目の前つまり目的地はだった場所で少し大きめの爆発が起きた。

一瞬でぶぁっと熱を含んだ空気が巻き上げられ服の裾が翻る。

俺はそれを目の端に捉えると顔を歪めた。

嫌な予感ばかり当たるとか、俺は漫画の登場人物かよ。

頭のなかで悪態を吐いても状況は変わらない。


『いくぞ』

「ああ、裏手から回ろう」

「んじゃ、車乗ってー。飛ばすぜ」


乗り込むと同時に体にかかる慣性にみじろぐ。

せめてドアを閉めてから発進せいっつうの。

思っても言うことはしないが、心のなかで舌打ちをした。



音をたてて走る車は優に法定速度を越えている。

法などほとんど気にすることのない俺たちがこんなこと考えても仕方がないけどな。

ぐんっと体に力がかかったかと思えば車が片方の車輪が浮くようにして道を曲がる。

おいおい、これはハリウッドのカーチェイスかよ。


「うし、着いた!」

「俺、お前の運転嫌い」

「そうけ?」

『無駄口叩いてっとその舌ぶった切んぞお前ら』

「はーい」


爆発のせいで手薄になった警備のお陰で易々と入ることのできた屋内に自然と口数が増した俺たちにニコラスが釘をさす。

確かにここまで簡単に入れちまうと用心すべきかもな。

罠って可能性も出てくるから。

爆発した場所に近づいて行っているからか煙がどんどん濃くなっていっていた。

無言で通路を走る俺達は侵入者だ。

いつ見つかっても可笑しくはないし、むしろ―


―見つかる方が自然、だ。




「侵入者だ!B倉庫に爆弾なんざ仕掛けやがってこのクソがァ!」

「こりゃ俺たちじゃねぇって言っても聞いてくれねえやつだよな」

「だぁな」

『つまんねぇこと言ってねぇでさっさと片付けるぞ』


ウォッリックと俺が軽口を叩きあっているとニコが皮肉を投げつけてくる。

敵、ざっと十人程か。

へいへい、とウォッリックが返事をすればニコはそのまま走って行く。

駆けるニコラス、そのすぐ横の壁が大きな爆発音を立てながら爆発した。

横殴りの熱風がニコを襲い、壁に叩きつけられた彼は苦しそうに呻いた。

辺りを包む爆発の煙が一気に濃くなり一メートル先すら見えない。

ふざけんじゃねぇ、これじゃニコラスもウォリックも使いもんになんねえじゃねぇかよ!

あいつら自分達事は気配で分かるかもしんねぇが敵が明確じゃなく、更に三人での行動じゃそんなのいみねぇ...。


「まったくどんだけついてねぇんだよッ!クソが!」


匂い、敵の匂いがする。

腰に差したバトルナイフを二本手に取る。

飛び道具より確実に仕留められるからだ。

目を閉じて嗅覚だけに意識を集中。

どこだ、どこにいる?


.....ピク

ぐりんッと体を反転させながら同時に足払いを掛ける。

背後に迫っていた敵はバランスを保てなくなり音を立てながら倒れた。

首筋を掻き切って息の根を止める。


ひとーり。

ふたーり。

さんにん。


と瞬く間に敵を凪ぎ払いながら走り回る。

殆どの敵を倒し終わっただろうか。

あと一人...そう思って緊張の糸がほどけてしまった。

横っ面にまともに食らった一撃は意識を持っていくには十分すぎる程の攻撃だったのだ。







世界が暗転する



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お疲れさまです!
最近多忙で小説の更新が...申し訳ないです。

さて、これははてさて夢と言っていいのか?
甘さとか絡みとか殆ど皆無 _(:3」∠)_
もうこの小説をどう書けば絡みを増やせるのか全然わからんです。
プロット通りに行くとすると今後も甘味が殆どないという(笑)
これが俗に言うスランプと言うやつなんでしょうか...
今後もちまちま書いていくので長い目でお待ちくださいー!



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