血濡れのピーターパン.
04

「だーれだ!」


アレックスの腰の辺りに抱きつき、背中におでこを引っ付けて俺は言った。


「ふぁっ!?」と驚いて声を上げたアレックスに笑いながらもう一度だーれだ!と言う。



「マリオムくん、かな?」

「あったりー!」


腰の辺りにくっついたまま言えばアレックスに頭を撫でられて更に笑顔なる。

と思ったら、ガッと頭から鈍い音がした。

どうやら誰かに殴られたらしい。

いや、誰かなんて分かりきっているけど。


「ウォリックー!いきなし殴んなばかやろー!」

「お前がアレッちゃんに引っ付いてるのがわりぃ。お前実年齢考えろ、実年齢!アレッちゃんもこいつ甘やかしちゃだめよー?すーぐ味しめるんだからよ」

「いてぇ...実年齢とか別にいいじゃんかよー俺下心とかないしぃー!見た目が全てだ!」


ドヤ顔で言い切った俺の頭に再び拳骨が降ってきたのは言うまでもない。


「なんだよ俺はウォリックみたいに頭ん中全部厭らしくないのにー」


殴られた所を擦りながら悪態をつけば、隣でアレックスが笑う。

いい笑顔だ。

彼女はきっと便利屋に会うまではこんな笑顔を長いこと忘れていたのだろう。

昔の俺と同じように。


彼らに会う前の俺は今より格段にスレていて、他人を殺すか寝るかの生活だった。

母は俺を生んだ時に死んだし、父は俺を育てるのに疲れて俺を二束三文で売った。

能力の殆んど表れていなかった俺はあの頃はまだ太陽の下で目を開けられた。

俺が売られた先は傭兵部隊。

人を殺すのは日常で、罪悪感なんてものはこれっぽっちも湧かなかった。

そんな暮らしを繰り返していた少年期。

何歳の頃だったはイマイチ覚えていないが、俺は新しい傭兵部隊に配属された。

きっと前の傭兵部隊が金に困って売られたに違いない。

俺の目はその頃にはもう光を見るには弱くなりすぎていて。

サングラスなんて高価なもんを持っている訳もなく、俺の目の上にはいつも包帯が巻かれていた。

昼間の間は目なんか無いのと一緒だった。

そこで彼らに出会ったのだ。

ウォリック・アルカンジェロとニコラス・ブラウン。

ウォリックは屋敷の子ども、ニコラスは同じ傭兵として。

立場も能力もなにもかも違った俺たちは何故かとても短期間で仲良くなった。

屋敷のボンボンにも耳のない獣にも最初は興味なんて欠片も湧かなかったはずなのに、いつの間にか一緒に行動するようになっていた。

あの事件があってからは、親戚だと判ったチャドの親父に育てられていたが、彼らとの連絡を絶った事はない。

正に腐れ縁と言う言葉がピッタリだ。

今の俺が笑っているのは口には出さなくとも確実にこいつらのおかげ。

アレックスもきっとそうだ。



「なぁーにむつかしー顔で考え込んでんの?」

『....』


ウォリックに頭をくしゃくしゃとかき混ぜられて意識が引き戻された。

いつの間にか近くに来ていたニコラスに額を小突かれる。

本当の事を言ったらこいつらはどんな反応をするのだろう。

一瞬考えかけて止めた。

考えても無駄だ。

言葉は嘘をつけるから。

どんだけこいつらとの付き合いが長くとも所詮他人の本心が全て分かることなんてないんだから。


「いんや、さっきの仕返しどーやってしてやろうかと思ってな」


ニヤリと笑った俺。

本心が言えなくなったのはいつからか。

そんなのは憶えちゃいねぇがそんなもん長く忘れていることは確かで。

いつか、こいつらともっと一緒に過ごしたらそれを思い出す日も来るのだろうか。






過去を思い、未来を探す俺はいつになれば光を見つけられるのか。
(それとも光に嫌われたこの目はもう捉えることは無いのだろうか。)



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やっと便利屋出てきたー!
ニコラスもウォリックもかっこいいよー!
女の子かわいいしおっさんかっこいいしこの漫画好きすぎる!
バンチ繋がりで向ヒ兎堂二巻買いましたー
鳴釜君が可愛すぎて生きるのがツラい。
だが生きる!
GANGSTA.も向ヒ兎堂も続きが楽しみですー!



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