01
便利屋さんにお世話になり始めて数日たった頃。
テオ先生の元へと出かけると、そこでは見知らぬ少女がベッドを占領していた。
「先生、彼女は?」
「ああ、アレックスきてたのか。残念ながら彼、だよ。」
「彼?男の子ですか?」
「ああ、一応な。まあ、男の子っつうには少々年を食い過ぎてるが、見た目がそれだから。」
静かに寝息をたてる幼い顔はよく言えば中性的、つまり言ってしまえば女性的な顔をしていて、幼さの残る顔はどう贔屓目に見ても『年を食い過ぎた男の顔』には似つかわしくない。
ニナと同い年、もしくはそれより少し上くらいの少女に見える。
それが彼を見たほとんどの人が抱く第一印象だろう。
私もそんな印象を受けた1人であることは間違いない。
目の上に巻かれた包帯が痛々しく、女の子にしては幾分か膨らみのない一定の間隔で上下していた胸がほんのわずかだけタイミングがずれた。
「...ん、ぁ...、てお...テオ先生?」
「起きたかマリオム、体調はどうだ?」
「まだ頭がぼーっとするけど多分大丈夫。薬は?」
のそのそと起き上がった彼はベッドから立ち上がりまるで見えているかのようにテオ先生のもとまで歩いた。
テオ先生もそれを気にすることもなく薬の入れ物を渡している。
そこでやっと私は彼に声を掛けた。
「あ、あの...」
「おねえさん初めて会うよね?どうしたの?」
彼はまだ声変わりをしていないのか、少し高い声で話す。
私はそれに若干戸惑いながら返事をした。
「え、ええ。始めまして、数日前から便利屋さんのところでお世話になってるの。アレックスよ、よろしく。」
「よろしく、アレックス。俺はマリオム トラベルタ、マリオムって呼んで?」
差し出された手をなんとなしに握り返し、口元がニコリと笑った彼につられて私も微笑んだ。
「そういえば、便利屋のとこで世話になってるってよくニコラスが許したね。」
「ニコラスと知り合いなの?」
「腐れ縁さ。ウォリックもまた然り、ってね?」
胸元に持っていった手は何かを探していたようだったが、見つからなかったらしい。
ポケットを探ってみても無かったのか、彼は奥で仕事をしていたテオ先生に声を掛けた。
「せんせー!俺のタグはー?」
「あ、忘れてたわ。ほいっ!」
投げられたドックタグをいとも簡単にキャッチした彼は私に掴んだままの右手を見せる。
チェーンから伸びるタグにはD / 0と書かれていて裏面は掠れてよく見えなかったがこれが彼のタグなのだろう。
「ひとつ、聞いていい?」
「どーぞ、何かな?」
「どうして見えないはずなのに自由に動き回れたり、簡単に物をキャッチ出来たの?」
「簡単に言うと耳がいいから、かな?特に俺はタグ付きだしね、これくらいはできんのさ。ニコラスとおんなし、あいつは耳が潰れてるから目が発達してて俺はその逆。」
にやっ、そう効果音が付きそうな笑いはどことなくニコラスの笑い方に似ている。
その時診療所のドアが開いて少しだけ日の光が差し込んだ。
「お、ニナお帰り。」
「起きてたんだ!マリオムったら急に来て倒れて心配したんだよ!」
ごめんごめん、そう言いながら苦笑いする彼はどうみてもニナと仲のいい姉妹にしか見えない。
うるうると目に涙を溜めたニナを抱き締める。
「泣くなって、な?」
そういって前髪をかきあげておでこにキスをしたのは恋人のようで見ていて恥ずかしかったが。
まあ、私よりも驚いたニナの方が真っ赤になって恥ずかしそうだったけどね。
「まじ可愛いー!ニナ俺んとこ嫁にこない?」
「ばーか、お前なんかにやらんわ。」
「せんせーには聞いてないだろ!なー、ニナ?」
「...っ!」
真っ赤になってパタパタと逃げて行くニナに、唇を尖らせてテオ先生に向かって文句を言うマリオム。
しかもマリオムが見た目は少女であるからその光景はだいぶ面白いものだった。
それが私と彼の初コンタクト。
(ニナ嫁に来ねーかな…)
(やらんわ、あほ。敵も多いしな。)
(確かにニナを貰うとなるとニコラスも敵にまわすことになるのかぁ。)
(必然的に周辺のニナを可愛いがってる連中もだな。)
(見た目的にはニコラスよりゃ犯罪色は薄いぜ?)
(お前の場合は犯罪色より禁断色が強いからな、どっちにしろoutだ。)
(あー...)
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GANGSTA.面白すぎて勢いで書き始めたらいつの間にか冗談にならなくなってたよ!バカだねっ!←
最近(?)マイナー漫画の発掘にはまって色々手を出してるんですが、GANGSTA. はそれの切欠になった漫画です。
これと落語心中と向ヒ兎堂が熱い。オススメですー!
一話はおんにゃのこ可愛いよぺろぺろって話です(キリッ
だからあんまBLDっぽくないのは勘弁しt(((
シリアスにするとかあんま決めてないけど胸糞悪く成る程はやらないと思います。
足りない文才で頑張っていこうと思うのでよろしくお願いします!