残酷な



「起きてください、近藤局長。」


ここ、スナックすまいるで殆ど毎日行われる行事の一つ

それがこの真選組の局長を起こす隊士の図であるのだが

今日は少々絵柄が変わっていた


「近藤局長、こんな所で寝ていると風邪を引いてしまいますよ?起きてください。」

「あー!ユキちゃんじゃねぇかぁ、どうしたぁ?」

「どうしたも何もないですよ、こんなにお酒飲んじゃって明日仕事辛く成りますよ?」


そう、いつもは若い男の隊士あたりが迎えに来るのだか今日は真選組の紅一点ユキが迎えに来ていたのである

腕っぷしは男顔負け、顔も整っているため異性同性に関わらず真選組の中で一二を争う人気隊士である彼女

一方男からの人望は人一倍厚いが女からの人気は皆無と言っていいほどの近藤

しかもユキの方は涼しげな顔に心配の色を浮かべ近藤の方はべろんべろんに酔ってだらしなく語尾を伸ばしている

その図は少し、いや、随分と異様だった







「そろそろ起きてください、部屋、着きましたよ。」

「んー」


生返事だけを返し一向に起きる気配を見せない近藤を床に下ろす

布団は敷かれていないので少し固いだろうとは思うが仕方ない

布団を敷くまで待っていて貰わなくては


「...多分ここだよね、」


そう小さく呟きながら押し入れを開く

そこには予想通り布団がしまってあり

テキパキと手際よく布団を敷き近藤を布団まで移動させる

これが出来る女はそうそう居ないが真選組に入ったいまこれくらいの腕力がなければやっていけないと気合いを入れ直した


「...ふぅ」


掛け布団を肩まで掛けて一息ついて肩の力を抜く

今部屋を支配している酒の臭いに酔ってしまいたい

一瞬そう考えて何を馬鹿なことをと自分でツッコミをいれる


少し

少しだけなら怒られないだろうか

空気に酔ったと嘘をついて


近藤の頬に口づける



ちゅ、小さなリップ音が無音だった部屋に響く


刹那、腕が引かれ布団の上に倒れ混む

よく自分の状況が分からず目をキョロキョロとさ迷わせるユキの視界には目の前にいる近藤とその後ろにある天井しか写らなかった


「...近藤局長?何をして...」


トロンと目の座った近藤は明らかに酔っている

かといって力が弱い訳ではなく腕の中から抜け出せずどうしようかとユキは思案した

その間にも近藤は無言で服を脱がしていく

抵抗はあまり意味を成さずいい案も思い浮かばない


「近藤局長、やめっ」


やめて下さいと口に出そうとした言葉は唇が紡ぐ前に近藤のそれが阻むように重ねられ最後まで言うことはかなわない


言葉をとめるために無理矢理重ねられたはずのそれはそうと感じさせないほど優しく口づける

もう抵抗を諦めようか

そうすれば一時だけは自分が近藤局長の想い人だと錯覚出来る気がしたから


ちゅ、そう小さな音がして重なっていたはずの唇が離れた

銀に光る糸が私達をつなぐ


目をトロンとさせた近藤の頬にてを伸ばして頬を撫でる

近藤が素面だったなら迷わずに受け入れていたはずの行為

しかし素面だったなら絶対に行わないはずの行為である

近藤は志村妙、その人が好きなのだから


「...ん...ん...」


近藤はユキの首筋に赤い所有印を付けていく

白い首筋に付いた赤い花弁に満足げに笑った近藤すらいとおしく感じてしまうなんて私は末期だな…と自分に呆れた




とうとう隊服のズボンまで脱がされてしまった今私はもう抗う事を止めてしまっていた


「ん、はぁっ、あ、」


近藤の指が中をかき回す

二本の指が縦横無尽に動き回りユキを翻弄する

抵抗の声など出る間もなくなるほどユキは近藤に支配されていた


「...ふ、あ、んぁ!」


ちゅぷん

音をたてて指が引き抜かれ

はぁはぁと息を整えようとしているユキの唇を近藤のそれが捉える

先ほどとは違う口内を貪るようなキス

それによって息は整うどころか荒くなる一方だ


「ん、むぅ...ふ、」


口内を犯すように動き回る舌に歯列がなぞられる

動き回る舌はまるで他の生き物のようだ



かちゃかちゃと金属同士がぶつかる音が聞こえる

ベルトを外しながら器用にキスをする近藤に意外に器用なのかも知れないと変なところで感心した



近藤が唇を離す

ふーっ、と長い息を吐いていたかと思えばユキの秘部に近藤の猛った熱が当てられて

ゆっくりと中に侵入していくのがわかった


「...ふぁ、あっ、」


圧迫感に声が出る

普通の男より体格のせいか一回り大きなそれは不思議に思う程痛さを感じさせず

指で慣らされたそこに比較的すんなりとおさまった


ゆっくりと近藤の腰がグラインドを開始する

段々と激しさを増すそれが中で暴れて

強すぎる快感に逃げようとした腰は近藤に引き寄せられる

近藤は快楽に従順な獣のようにも見えるがそこから逃げ出す術をもう既に私はもっていなかった


「あ、だめ、いやっ、あ!」

「っく、」


そういって同時に果てた私達

薄れ行く意識の中で


「お妙さん」


情事中何も言わなかった近藤の唇がその形に動いたのを私は目の端で捉え

意識と共に絶望へと落ちていく私がそこにいた







残酷な終焉
あまりにも救いようのない







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連続で裏夢更新すいません(汗)
近藤さんを久しぶりに書きました←
というか最近あの花連載ばかり更新していたので短編自体加持さん夢が久々だったんですが (;´∀`)
ここまで読んで頂きありがとうございました!





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