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「もしもしママ?うん・・・・うん、大丈夫。おじさんもいるし、なんかあったらおじさんに言うから。・・・うん、また電話するね。」



私は携帯を切ると無造作に右ポケットへと押し込む

日本のうだるような夏の暑さは随分と久しぶりだと吹き出てきた汗を拭いながら考える

日本に降り立つのは本当に久しぶりだ

というのも、小学校を卒業してから父のドイツへの転勤が決まり家族でドイツに引越しをしたからに他ならない


その時私は母親と父親に日本に残っても良いと言われたが一緒にドイツへ着いて行ったのだ


そのおかげで今では三カ国語が話せるようになった


そして私はドイツの中学を無事卒業し今日本に降り立った訳である

あちらの学校は9月が進学の節目であるから今こちらでは夏休み

文字通りの茹だるような暑さはヨーロッパのカラリとした暑さに慣れた体には堪える


ちなみにまだ父親と母親はドイツなので私は前の家の近くに住んでいた親戚のおじさんの家に居候することになっている

一刻も早くこの暑さから逃げ出そうと私はおじさんの家へと向かう足の速度を心なしか速めるのだった



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