「これはまた香ばしいことになっちまったなぁ」
ぽっぽは肉を食べなから呟いた
「ま、野菜とかはいい感じに焼けてるし。」
「あ、これ美味しい。懐かしいよ。」
「本当だ、少しぼそぼそするけど美味しい!」
焼け過ぎてしまった肉やバイエルンは少し固い
しかし野菜は焦げていなかったし蒸しパンも美味しかった
夜はあまり食べないと言っていたつるこに一口大に切り分けた果物を渡し
自分はモグモグとじんたんの持ってきた蒸しパンを咀嚼する
「ねぇ、めんま見えるって本当?」
唐突にあなるに話しかけられた
びくっと肩が動いたのが自分でも分かる
「......みえるよ。」
「嘘、とかじゃねぇんだよな?」
「うん、見えるのもさっきここに居たっていうのも本当。ずっとじんたんのこと見てた訳じゃないからこの蒸しパン作ったのがめんまか、とかは分かんないけど。」
そこまで大きな声では無かったが芯の通った声
その声には最後に消え入りそうな声で「信じてくれなくてもいい」と付け加えて
どう考えてもあり得ない事なのは自分でも分かっていたから
「俺は、信じるよ。」
ぽっぽがいつの間にか近づいてきていて私の頭を撫でた
これになんだかほっとして
次の瞬間には目の前は霞がかって見えなくなっていた
「...泣くなってかなたー。泣いてるかなたは見てらんねぇだろーよ。」
「泣いてない...」
「あー、はいはい。」
目をグシグシと乱暴にぬぐって言う私の頭を
大きな手が優しく撫で付けて
この手には何か私を落ち着かせる細工がしてあるんだ
なんて割りと真面目に思ったりした
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