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「本当にありがとうございました。」

「気にすんな、俺がしたくてやったことだからな。」


私が頭をぺこりと英虎さんに向かってさげると、答えと同時に下げた頭をガシガシと撫でられる

何だろう、この三人は私の頭を撫でるのが趣味なのだろうか

かおるさんも庄次さんも英虎さんも断るごとに私の頭を撫でている気がするのは気のせいではないだろう


確かにそれほど嫌だということはないが、なんだか子供扱いされている気がしてあまり手放しに喜ぶこともできないのが現状だ

まぁ、英虎さんの中では私はペットのような位置づけをされているようであるからこの扱いも納得がいくといえばそれまでなのだが


「あの、子供じゃないのでそんなに撫でなくても・・・」


やんわりとこの子ども扱いを回避しようと声をかける

それに驚くのは今私の頭を現在進行形で撫でている英虎さんではなく庄次さんだ


「えっと・・・?ユウちゃんていくつ?」


聞き方が幼い子供に対して聞いているようで少し腹が立つ

いくつ?って私はこれでも高校1年だぞ

その聞き方は最高でも小学校中学年までではないか?

男に間違われることはまだ許せるがそこまで幼いと思われるのは心外だ



「16歳です。」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


そこで三人とも無言になった

沈黙が痛い

そして年齢にそこまで驚かれるのも心が痛い


実は今までも何度かこういったことはあったがそれは海外での出来事だ

アジア(特に日本)人は若く見られることが多いと聞いていたから特に気にすることもなく

日本人だから若く見られるんだと思っていたがどうも違っていたらしいということに私はこの反応を見て初めて気がついたのだった



「童顔だな。」

「ですね。」

「気にする必要はないと思うが。」



「余計悲しくなるんでフォローはいらないです。」




涙目になりながら見上げる瞳はさながら捨てられた子犬のようだと三人が思っていたことをユウが知るのはもう少し後のことである





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