「ユウ、かおるに挨拶しとけ。」
「は、はぁ・・・。若草ユウです。よろしくお願いします、かおるさん?」
「俺は陣野かおるだ、好きに呼んでくれて構わない。」
虎に言われてこちらに顔を向け自己紹介をしてぺこりと頭を下げる
俺を真っ直ぐと見つめる瞳は小動物(例えるならば子兎と言ったところか)を連想させ
自然とユウの頭に伸びた俺の手はまだその小さな頭を撫でることを止めようとはしない
ここでふと気がついた
虎が俺の手を眉間に皺を寄せながら見つめていることに
いや、これは見つめていると言うより睨み付けているといったほうが語弊がないだろう
睨んでいる、それはもうその視線の先にある俺の手に穴が開くんじゃないかと思えるほどに
少年は撫でられるのが心地良いのかニコニコと笑っていてそれに気がつく様子はない
それに気がついているのは俺と庄次だけのようだ
これ以上虎に睨まれるのも遠慮したいので俺はユウの頭から手を離した
「そういえば、俺ユウちゃんに自己紹介してなかったよな?」
今気がついたように庄次が口を開くと虎の眉間の皺が無くなる
どうやらこの子を虎は相当気に入っているらしい
やはり俺がこの子の頭を撫でているのが気に食わなかったようだ
「俺は相沢庄次、好きに呼んでくれてかまわねぇからな?」
「はい、よろしくお願いします、庄次さん。」
そうユウがにこやかに庄次に返事を返すと虎の眉間にまた皺が寄った
今度は何だと俺と庄次は顔を見合わせる
しばしの沈黙を破ったのは少し不機嫌な虎の声
「・・・・なんでだ。」
「・・・ん?」
「何がですか東条さん。」
主語がないために伝わらない会話にもどかしさを覚える
虎の眉間の皺は深くなるばかりである
ユウは目をぱちくりさせ不思議そうに虎を見上げ
俺と庄次は頭に疑問符を浮かべながら次に紡がれる言葉を待った
「・・・何で俺だけ名前で呼ばねぇ・・。」
「・・・?だって東条さんの下の名前知らないです。」
「は!?東条さん自己紹介もしてなかったんすか!あんなに嫉妬心むき出しだったのに!?」
庄次は驚きすぎて目が点になる勢い
俺もその感情には同意だ、庄次。
あんなにも俺を睨みつけて嫉妬心むき出しだったj・・・・
待て、嫉妬?
ユウは男じゃないのか?
虎とユウの二人がそれぞれ自己紹介をしなおしているその横で庄次から知らされたユウの本当の性別に俺珍しく声をあげて驚くのだった
(東条英虎だ。下の名前で呼べ。)
(えっと・・・、英虎さんでいいんですか?)
(あぁ。)
(東条さん超満足そうに笑ってるな)
(こんな機嫌のいい虎は喧嘩してるとき意外は見たことがない)
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今回はかおるちゃん視点で!
しかしかおるちゃん口調が全然分からない・・・
単行本あるけどあんま出てこないし・・・(´;ω;`)
今後のかおるちゃんの原作での活躍に期待です(笑)
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bkm