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「おい、」

「はい・・・・」


私は今物凄く強面のお兄さんと対峙している

何故かなんて分かりきってること


私が今さっきまでお兄さんの前にいた猫を抱いているからだ

もちろん私が無理やり抱いたわけじゃない

この猫が私を見た瞬間に救世主を見つけたとばかりに抱きついてきたのだ

そりゃもう必至に抱きついてくるもんだから(一瞬猫なのに犬の幻覚が見えた)しょうがなく猫を抱いている

昔から動物には好かれるたちだったがコレは異常だ


お兄さんは自分から散々逃げていた猫が私に抱きついたことがショックだったのか少ししょぼくれている

強面の彼にも犬の尻尾と耳が見えるのはやはり幻覚だ


「あの、お兄さん・・・・」

「なんだ・・・」



お兄さん少し不機嫌そうだ

どちらかと言うとすねているのかも知れないが


「撫でます・・・?」

「いいのか!!!!」


そういったお兄さんにはブンブンと振られる尻尾が見えました





−−−−−−−




『んにゃー』

「かわいいなー、よしよし。」



これってはたから見たら大分シュールな光景だと思う

猫←私←お兄さん

の順で撫でているからなのだが

お兄さんの見た目がいかついからか、それとも動物の本能的な物なのかは分からないが

猫はお兄さんが撫でようとすると逃げようとするのだ

そりゃもう必至になって

お兄さんは数分猫との攻防を終えて、私を撫でることに決めたらしい

お兄さんの意図を私が考えた結果この構図になった訳だが・・・・・




ちょっとシュール過ぎる気がする。うん。

会話なしでこの光景はかなりきつい物があると思う


というか、なんか撫でられるのが気持ちよすぎて眠くなってきた

このままだと本当に道端で寝ることになる



危機感を感じ始めた私はお兄さんに話しかけた



「お兄さんはここで何をしてたんですか?」

「その猫と遊んでた。」



え、私が来てから攻防してたんじゃなくてもっと前からしてたんですか?

そんな言葉を飲み込む

なんだか猫が怯えていた理由が分かった気がした



「名前なんつーんだ。」

「いや、初めて見る野良猫なんで分からないですね。」

「そうじゃない。」

「・・・・・・」

「・・・・・」



沈黙が痛い

暫くの無言の攻防が続いた後、折れたのは私だった



「若草です」

「・・・・」


どうやら苗字だと気に入らないらしい

むすっとしているお兄さんにはぁ・・・と溜め息

もちろん私の口から出た物なのだが


「若草ユウです。好きに呼んでk―」

「ユウだな!」


お兄さんは私の言葉を綺麗に、いっそ清清しいほど綺麗に遮ってにっこりと笑うと私の頭をワシャワシャと撫でた

私はお兄さんの中でペットとして位置づけされたらしい




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bkm
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