貴方には叶わない
周りはカーチスとポルコの決闘を見学に来たものたちで溢れ

唯でさえ沢山の人が集まっているのに、集まっているやつらが血の気が多いのでもう収集がつかない

ワァーワァーと叫ぶ声に賭け事のための紙が舞う

皆、楽しそうに観戦している



マンマユートはニヤリと笑う

この分なら、すぐにポルコにやられた船の修繕が出来るだろう

何より、ポルコとカーチスの戦いは名の知れた者同士とあって、迫力満点だ

見ていて楽しすぎる

こんなにも凄い物を見たのは何年ぶりだろう、と感傷に浸っていたとき仲間たちが騒ぎ出した




「白のサボイアS.21Fだっ!!!白の貴公子が来たぞっ!!!!」

「俺初めてみたよっ!!」



何っ!?白の貴公子だと!?ふざけるな、態々これを見に来たってェのかっ!!!


マンマユートは驚き戸惑う

なぜなら、白の貴公子は謎ばかりのやり手賞金稼ぎだ

アイツの手にかかれば、そこらの空賊船10隻なんて20分で片が付くといわれているほどだ

唯一分かっている事といえば白く塗ったサボイアS.21Fに乗っていつもクラシック音楽を掛けていることぐらいだ

女どもはそんな白の貴公子に夢中で

まぁ、古典的なキザでいけ好かないヤローってところか




そんな事を考えている内にサボイアS.21Fは着陸する

やはりあのいけ好かないクラッシック音楽を携えながら

ワルツを空でかけるなんざ、趣味を疑うぜ

サボイアS.21Fから降りた白の貴公子は商品の譲ちゃんに男にしては少し高い声で話しかけた



「一曲、踊って頂けませんか?」


ハァ!?意味が分からん。何を言っているんだこいつは。

船から下りたと思ったら、ゴーグルすら取らずにそのままの状態でワルツに誘いやがった。

何がしたいんだ。



「おいおい待てよ。そこの若いの。この譲ちゃんは賞品だ。勝手な事いってんじゃねぇ!!!」


マンマユートは呆れながらも止めに入る

だが、フィオは軽く頬を染めながら手を取ったのだ

そして、二人は制止を聞かず踊り始める

上(空)で舞う二隻の飛行機の様に



「フィオちゃん、マルコの事気になる?」


チカはステップを踏みながらフィオの耳元に口を近づけ言う

フィオは自分の名前をチカに呼ばれた事に驚いたのかびっくりした様な顔をした

怪訝な顔をされたチカは“ははは”と笑って言う


「私は、マルコの友人さ(本当は恋人なのだけど)。この前に君の事聞いたんだよ。ピッコロさんとこの娘なんだって?」

「はい。あなたの名前は?」

「私の名前はチカ。チカと呼んでくれて構わないよ。」



数分踊っていると曲が終わりステップを止める

フィオと繋いでいた手を離し、フィオに再び笑いかける

それはポルコとカーチスが降りて来たところだった




「さぁ、クライマックスだ。」

「いけ!ポルコ!!!」


その後は顔がぼこぼこになるまで殴り合い、勝ったのはもちろんポルコ

フィオはポルコに抱きついて礼を言う


「ポルコ!ありがとう!!!」

「なぁに、軽いもんさ。それより、あいつが来てんのか?」

「あいつ?あぁ、チカさんの事?カッコいいわよねぇ〜。」

「くっはっはっはっは!こりゃいい、カッコいいか。」

「なんで、笑うのよ〜ポルコ!」



フィオは不満そうに言うが、ポルコの笑いは一向に止む気配がない

その時後ろから声が掛かった

チカだ



「マルコ、久しぶり。」



そういいながらキャップとゴーグルをチカが外すとフィオの目が点になった

ありえないぐらいに


何故なら、チカがキャップのとゴーグルを外すとジーナに負けず劣らずの美人がそこにいたのだ

髪もキャップの中に入れていたのだろう長い髪が風に靡く

もう、美人としか言いようがない




「あ、そろそろ空軍がお出ましだ。早くしないと、マルコ。」


そうチカが言うとポルコは あぁ と答えフィオに向かって言った

「フィオ、お前はジーナの船に乗るんだ。」


そういってフィオをお姫様抱っこしたかと思うと、ジーナの船まで運び放り込んだ

ジーナには「ずるい人」だと言われ、フィオには船が動くと同時に触れるだけのキスをされる

それを見ていたチカは楽しそうにくっくっと笑い



「イタリア空軍を引っ張っていくの、手伝うよマルコ。話したい事もあるんだ。カーチス手伝ってくれるかい?」

「美人の頼みならいくらでも。」



カーチスは軽口を叩いて自分の船へと戻っていく

チカはポルコに“いつものところで”というと自分の船に向かう

しかし、途中で何かを思い出したように立ち止まるとポルコに近づき触れるだけのフレンチキスをした


悪戯に成功した様な顔を見せたチカにポルコはニヤリと笑い今度は自分で抱き寄せキスをする

さっきとは逆に深いキス



「・・・んぅ・・・ふぁ・・・。」


チカの舌を絡めとり、口内を犯すように弄る

十秒ほどそうしているとポルコは満足そうに笑みを浮かた









いつもこんなん見せられたら堪ったもんじゃねぇな・・・・とカーチスが思ったのは必然。


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