「好きです、私と付き合ってください。」
それを言ったのは私じゃなかった
私の相談に乗ってくれていた友達
その友達が私が好きだった男子に告白した
「・・・ありがと、俺も、好き。」
そして私は告白することも無く玉砕した
私がこれを聞いたのは下校する途中で学校の裏の道を通っているとき
グラウンドの隅で話している二人との距離がたまたま近かったから、いや私は無意識に近づいていたのかもしれない
どちらも好き
わたしの感情は報われないのだろうか
友人は一生つきあっていきたいと思うほどの親友だし、男子のことも確かに好きなのだ
どうすれば正解なのだろう
次の日から友人とギクシャクし始めた私はなんだか授業を受ける気にもなれず具合が悪いといって抜け出し屋上まで来ていた
こんな日に限って空は曇っていて日向ぼっこにもならない
はぁ・・・とため息をついて視線を落とせばそこにはコンクリートの灰色とは違う色が混ざっていた
「チカちゃん大丈夫?」
「・・・近藤くん?どうしてここに・・・。」
「いや、俺先生に保健室まで送ってくように頼まれたんだけどチカちゃん気がつかなかったみたいで先にいっちゃうし、着いて来た。あ、これ飲んで途中自販で買ったから。」
そういって差し出す手にはミルクティーが握られて
いていかにも“今買いました、冷たいです”といわんばかりに周りにうっすらと結露がみえる
「ありがと。」
そういってミルクティーを受け取ると近藤くんはにっこりといつもの眩しい笑顔で笑って私の隣に腰掛けた
「元気ないけどなんかあった?チカちゃんてあんまさぼったりしないだろ?」
「別になんもないよ・・・。沖田君がいつもさぼってるから羨ましくなっただけ。」
言葉を紡ぎながら顔に浮かべるのは笑顔
別に何があったわけじゃない・・・その言葉は自分に向けた言葉
言うなれば一種の自己催眠のようなもの
決して誰かを嫌う事が無いようにすべてを見なかったことにするためのおまじない
沖田君の名前がでて驚いたように一瞬顔が強張ったように見えのは気のせいだろうか
すぐに苦笑いに変わってしまったから気のせいかもしれない
「チカちゃん無理して笑ってるだろ。」
図星
貼り付けた笑顔が引きつるのが自分でも分かった
「無理して笑ってると本当の笑い方忘れちまうぞ。」
これは何かの尋問だろうか
貼り付けた笑顔はこんなにも簡単に崩れてしまうものなのだろうか
「本当に笑ってたほうが誰だってかわいいと思うけどなぁ・・・。」
崩れた笑顔は一瞬で影を落とした
口から零れる一つ一つの言葉が悲しみを少しづつ流してくれているようで
「近藤くんは優しいね、近藤くんに好きになられてる妙ちゃんは幸せ者だなぁ。近藤くんならきっと振り向いてもらえるよ。」
「ちょっと前に、お妙さんのことは諦めたんだ。他に好きな人が出来たから。」
「・・・そっか。振り向いてくれるといいね、その幸せ者が。」
そう言った瞬間に腕がひかれて何か温かいものに包まれた
「振り向いて欲しいんだ、君に。」
腕の中に引き込まれてだきしめられたと理解するまでは大分時間がたったような気がする
耳元で聞こえた低音にわけが分からないくらい心臓が音をたてて
「チカちゃんが好きだ、付き合ってください。」
分からない
こんなに鼓動が早く脈打つのは初めてで
これは
恋、でしょうか・・・
「・・・えっと、よろしくお願いします。」
劇的すぎて
思考が追いつかない
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近藤さんが好き!
という拍手を頂いたので久しぶりに短編です(´ω`*)
しかしこの近藤さん似非感が半端ないです(笑)
感覚が戻るように更新も増やす!(予定!)←
頑張りまーすヾ(*・ω・)ノ