Dream | ナノ

ポッキーゲーム





AとB、どちらを選ぶかで迷う事ってよくあると思う。

そう、例えばそれがどんなに小さな事だったとしても。


「ァア?ポッキーとトッポだァ?」
『そう』

議題:ポッキーとトッポならどちらが良いか

「ンなもんどっちでも良いだろ」
「あら。些細なことでもちゃんと考えてあげるのが男前ってやつよ」
「ショタコンにンな言葉は似合わねェよ、出直してこい」
「・・・貴方、まだ根にもってるの・・・」

ちょっとお前ら、だんだん議題から遠のいていってるぞ。

「まあまあ。まずは議論することが先決でしょう」
『ナイス海原、そうだよ議論してよ』

「なら俺が聞くけどよォ、お前はどォなんだ?」
『私?』
「確かに、それは気になるわね」

正直言うと、ここまで話が続くとは思っていなかった。
グループのメンバーがマトモに話をするとは思わないし、それにこんな小さな話題で方針が枝分かれしていく実態は予想すらできない。
つまり、急に私のほうに振られてもすぐには返事ができないというわけで。

『えっと、』
「なンだよ、当の本人がどっち派か分かんねェンじゃなァ」
『驚いただけだし!・・・私は、断っ然トッポ派だね!!』

あ、ちょっとマジになっちゃった。

「で?」
『ん?』
「理由は?」
『そら勿論、食べ応えとチョコの量に比率だね』

「本当に、それだけか?」

本当に、それだけか?・・・考えても何も出てこない。一方通行は、一体何が言いたいのだろう。

「あぁーーーー・・・。なるほどね・・・。それなら私もトッポ派だわ」
『?何の話・・・』
「いえ、ここは名前に沿ってポッキーにすべきでしょう」
『はあ?』

ちょっと訂正。こいつらは、一体何が言いたいのだろう。

「フン、男は黙ってポッキーだ」
『いやその外見で言われても・・・すいませんごめんなさいにらまないでください』
「では、今のところドローですが・・・どうします?土御門にも聞きますか?」
「それがいいわね・・・当事者だし」

いや、何の当事者だよ。

「不思議そうな顔してるわね、なまえ」
『そりゃもう・・・何がなんだか』
「だからお前ェは三下なんだよ」
「クスッ・・・いいですか?なまえ。今の話題はポッキーゲームなんです」

『・・・は?』

軽く反応を見せると、遠くからドダダダダと音が聞こえてきた。

「来たわね」
「あとは頑張れよォ、健闘を祈る」
『はっ!?いや待って意味がわからな』
「では結標さん、座標移動でここを抜けましょう」
「ええ」
『はぁぁあ?いや待て置いてくのかここに!』

叫んだ瞬間シュシュッと男2人が消え、残った結標は「じゃっ」と言って窓から飛び降りていった。
そして私が呆然とする中、部屋のドアがぶっ壊れる勢いで開かれた。

「俺のマコトとポッキーゲームする奴は誰だァァァ!!」



『ちっ違う!話の内容はそうでなくポッキーかトッポかって話で・・・!』
「ポッキーゲームはポッキーだからポッキーゲームなんだっ!何者の干渉も許すまじィィ!」
『ああもう駄目だこいつ!!』