可愛い妹
スラスラスラ――――――――
白い紙に綺麗な文字がまるで浮かんでくるように並べられていく
一枚終わるともう一枚、また終わるともう一枚とあっという間に彼女の前に並べられていた書類の束は文句の言いようも無いような完璧なさばき済みの書類となる
朝来たときには書類で見えなかった机が今では綺麗に書類が一角に積み上げられていた
その間わずか三時間
普通の平隊士、下位の席官よりも量があるのにも拘らず半分の時間で終わらせているのだ
そこまでやってやっとマコトは息を吐く
「ふぅ・・・・。」
八番隊に来てから最近はホロウ討伐命令も殆ど平隊士が行くものではなくなったため、書類整理を頼まれる事が多くなった
前に伊勢副隊長に言われた“たまには息抜きも必要よ?隊長を見習って貰っては困るけど。”と言う言葉を思い出して少し笑いそうになる
マコトは確かにそうだと内心思いながら立ち上がった
今処理し終わった膨大な量の書類を持ち上げる
「あの、書類届けに行ってきます。」
そう先輩の隊士に声を掛けて外に行く
声を掛けられた隊士は
「行ってらっしゃい。」
と一言声を掛けて見送った
だが、マコトの去った八番隊はザワザワと話していた
彼女の事を
「高坂さんて、仕事速いよなぁ。」
一人の席官の隊士がそう言うと皆口々に口走る
「そうだよねー。マコトちゃん若いし扱かれてるのに文句一つ言わないし。」
「事務処理あんなに早いのにホロウの討伐でも活躍できるぐらい強いらしいよ。」
色々な場所から彼女をほめる声が聞こえる
席官、平、新人問わず
その日八番隊でマコトちゃんはみんなの可愛い妹です法案が可決した
そのころマコトが廊下でくしゃみをしているのを見たものはいない