貴方に近づきたくて
それからマコトは八番隊の事務関係の仕事から、現世へと赴くホロウ退治までいろいろな事をやり、
八番隊にマコトが配属されてから、かれこれ今日でちょうど一ヶ月になる。
マコトはこの一ヶ月で、事務仕事では目覚しい書類処理能力と、他の隊でも“最近の八番隊からくる書類は綺麗な字で読みやすい”と噂になるほどの字を。
ホロウの討伐では、他の新人が使い物にならない中、マコトが的確な仕事分担をしたり、ベテランの隊士でも苦戦するようなホロウも意図も簡単に倒したり
とにかく、他の新人とは比べ物にならないほどの功績をあげていた。
「中本さん、これお願いできるかしら?」
声をかけてきたのは、沢山の書類を持った伊勢副隊長
沢山持っていた中の半分ほどをマコトの机において残りの半分を自分の机に置く
「はい。大丈夫ですよ。これくらいなら、なんとか私一人でもさばききれると思います。あっ、でも・・・・」
マコトは少し顔を歪ませながら、申し訳なさそうに言う
「・・・今、この書類終わったので、届けに行かなきゃいけないんです。もう机の上がいっぱいなんで・・・・。すいません、急ぎの書類ですか?」
「いいえ、本当にすみません。まだ入ったばかりなのに、こんなに書類を押し付けちゃって・・・・。
隊長がサボっている分まで私にまわってきちゃって、一人だとできない量になってきちゃったの。」
マコトは少し苦笑いする。
「大丈夫ですよ。まだ四月ですし、忙しいのは当然です。私も手伝える事は手伝いますし・・・・」
マコトは苦笑いをしていた顔をきりっと元に戻して、真面目な声色になって続きを言う。
「まだまだ、ですけどこんなことで八番隊のためになるんでしたら、嬉しいですし。何より私には目標がありますから。
少しでも京楽隊長の役にたって、少しでも京楽隊長に近づくことが私の目標ですから!!」
七緒はにこりと笑って
「頑張ってね。」
と言った。
心の中では
「(隊長も年貢の納め時ですねぇ。こんな可愛い子にそんな事言ってもらうなんて、隊長には少しもったいないきがしますけど・・・。)」
なんて思っていたりするわけだが
一方件の京楽はと言うと、仕事そっちのけで、屋根の上に上り、酒を飲んでいた。
「・・・・・・へっくし。誰かが僕の噂でもしてるのかなぁ?マコトちゃんだったら、うれしいなぁ〜。」
なんて暢気に言うのだった。
この後京楽が七緒に見つかって説教をくらったのは、当然である。
スズランと男の気持ちは交差する