とっつぁん再降臨
ドタドタドタッ!!
「た、大変です!とっつぁんが急に来ました!!」
隊士の一人が慌てているのが足音だけでもわかるぐらいに音をたてて走ってきて、
ピシャッと襖をあけて言う。
「とっつぁん!?なんでェェェ!!」
「なんか、マコトちゃんを、お祝いしたいんだそうです。あっ、もう着きます。あとは、局長まかせましたからね!!」
来たときと同じようにピシャッと襖を閉めて出て行く。
「ちょっ!!まってってぇ――っ!!・・・・とっつぁん!!」
慌てて近藤は去っていった隊士を呼び止めるが、時すでに遅し目の前には大きな体の松平がいる。
「よォ、近藤ォ。マコトちゃんはどぉした。あぁ?いないとか言わねぇよな?いるよな?いないとか言ったらどうなるかわかってんだるうな?」
「いるから!!マコトちゃんいるからとっつぁんおちついて!!マコトちゃぁぁぁぁぁぁぁん!早くきてェェェェェェェエエエ!!」
近藤はキレる寸前の松平を見て、ただただマコトが早く来る事をいのるしか出来ない。
そんな、収集のつかなくなっていた屯所に、マコトの「ただいまぁ〜。」というなんとも間延びした声が響く。
近藤が今までパニクっていたのは、これのせいだった。
そうマコトは買出しに出かけていて、ちょうど屯所にいなかったのだ。
だが、屯所にいない事が松平に知れていたとするならば、きっともう松平は所かまわず、発砲していたことだろう。
危険だ
そりゃもう危険だ
もう真選組隊士を全員集めてもマコト以外収集を付けられなかっただろう
そんな理由で取り乱していたわけだが、マコトが帰ってきたとなると、話は別だったりする。
「近藤さん?どうしたんですか、隊士の皆さんが騒がしくなってますけど?」
そんなことをのんきにいいながらとたとたと歩いてくるマコト
だが、そんな暢気な声も松平が襖をあけて顔を出した事によって、一変する。
「よぉ〜。マコトちゃ〜ん。お祝いにきたよぉ?」
「まっ、松平様!!お仕事はどうされたんです?」
「おわらせたよぉ?それにしても、その松平様ってのォどうにかしてくんないかなぁ?
マコトちゃんも、真選組になって家族になったんだぁ、パパってよんでくれよ、なぁ?」
松平は、でれっとしながら言う。
「(とっつぁん、マコトちゃんにパパって呼んでもらいたいだけじゃねーか!!しかもマコトちゃんも無防備にちかづいてるぅぅぅぅ!!)」
そんな、近藤の心の中の葛藤もつゆ知らず、マコトは顔を赤く染めながら、
「ぱっ、パパですかぁ?恥ずかしいですよなんか・・・。」
と突っ込みどころはそこじゃないだろ!!と新八や、山崎に言われそうな事をもじもじしながらいっている。
「まぁ、今日はマコトちゃんの真選組歓迎会だ!楽しく飲もう!!」
なんて言う松平の声が屯所に響くと同時に、屯所は一気に騒がしくなった。
ちなみに、いちばんこの宴会を楽しんでいたのは、マコトの酌で飲んでいた松平だろう
松平のマコトへの過剰なスキンシップ(セクハラとも言う)に肝を冷やしていつもよりも近藤が酒を飲んでいなかったのは、本人以外知らない。(自分でも気づいていないかもしれないが。)