女隊士、真選組を舞う
「―――もしかするとお前も俺も勝てないかもしれないぞ?」
なんて、近藤さんが言うものだから、俺は面白いと思ったんだ。
武州の道場を立つ頃から俺は道場の中で一番強いぐらいだった。
今この真選組でも、俺が知る中では俺が一番強い。
身体を鍛える男の中で一番強い男が、入ったばかりの女隊士に勝てないだろうと言われ、しかもそいつは真選組で一番若い自分よりも若いのだ。
そんなの、楽しくないわけがない。
そうかんがえて、総吾はマコトをみすえ不適にニヤリと笑い、
「そりゃぁ楽しみじゃねぇですかィ。」と小さな声で呟き、
次は他の人にも聞こえるようにいう。
「マコト俺とどっちが副長の座にふさわしいか勝負しようぜィ。もうすぐ副長はいなくなりまさァ。」
普通だったら、ここで土方が総吾にツッコミを入れるが、土方不調(うちひしがれている)ため慌てて近藤が突っ込む。
「何いってんの総悟ォォオ!!まだトシはやめないからァァァア!!」
「じゃあ仕方ありませんねィ。とにかく勝負でさァ。」
この後マコトは道場を舞うように戦い
真選組一番隊隊長までも床に沈めた。
その試合の後の近藤の胸の内はなぜか高鳴っていた。