とっつぁんのサングラス
近藤さんに案内されてマコトは局長室までやってきた。
「(こんなとこまで来て良かったのだろうか??)」
マコトが不安になり部屋に入っても立ち尽くしていると、近藤さんはニカリと笑いながら座るように促した。
「書類沢山あって汚いですけど、どうぞ座って下さい。」
その言葉に我に返り、マコトは質問を投げかけた。
「あの、私みたいなのが局長室なんて入っちゃっていいんですか??」
「いいんですよ。それともマコトさんはここで悪い事でもする気だったんですかぁ?」
近藤はいたずらっ子の様な笑みを浮かべた。
「あっ、そうだ今日はどうしたんですか?何か用事があったんじゃぁ?」
「そうでしたっ!!あの、前に松平様とすまいるにこられた時に松平様がサングラスをお忘れになられたようで・・・。」
ごそごそと持っていた巾着の中から手ぬぐいに包まれたサングラスを取り出して近藤に渡した。
「あぁ、どうも「大変です!!とっつぁんが!!」
ドタドタと足音が聞こえた。
「近藤ー。今から一緒にすまいる行ってくんねぇか。サングラス忘れちまったらしくてよぅ・・・。」
とっつぁんの声が聞こえたと思ったらがらりと障子が開いた。
「こんどぉぉぉぉお!!局長室に女連れ込むたァどう言う了見だぁぁぁ!!このエロゴリラがぁぁぁ!!」
「とっつぁん誤解だって!この子マコトちゃんだから!すまいるのマコトちゃんですから!!てゆうか
今ゴリラって言ったよね。言ったよね!!!」
近藤はゴリラと言う言葉に過激に反応してツッコんだがとっつぁんはその前の言葉で納得したのか、マコトに声をかけた。
「でも、マコトちゃんはどぉしてこんなむさ苦しいところに来たんだぁ?」
「あっ、それはサングラスを持ってきたからなんです。」
近藤に渡してもらったサングラスを松平に手渡す。
「マコトちゃんはいいこだなぁ。おじさん今度すまいる行ったら指名いれるから。」
デレっと、とっつあんはいったが
「あの、私昨日づけで、すまいるやめたんです。ほんとは私16歳だったんで、事情があってやってたんですけどやっぱり駄目だってことで・・・。
今、働くとこ探してて・・・、剣術には自身があるので隊士として雇ってもらえないでしょうか?おねがいしますっ!!」
ウルッとした上目遣いで見られて2人は一瞬「はい」と即答しかけたが理性で反対する。
「「女の子に隊士は危ない(よ)!だめだ!!」」
「では、私が強ければ問題ありませんか?」
またも、ウルッとした上目遣いで見られ今度はふたりとも「あぁ」と頷いてしまった。
「では、誰にお相手を頼めば・・。」
マコトが迷っていると土方が障子を開けて顔を出した。
「俺が相手になってやるよ。他の奴らは惚けてて使い物にならないしな。」
「ありがとうございますっ!!」
その時は本人を除いて誰一人この後の結果を夢にも思わなかっただろう。