私の好きな人
「お妙さぁぁぁぁん!!!」
「あらこんな所にゴリラがいるわ。」
ベキッッ バコッッ ドスッッ
「冷たいじゃないですかお妙さぁぁぁぁん」
この光景を見て何度涙を流しただろう。
だが、もう泣かない。今まで流していた涙はもう、涸れてしまったから。
好きだけど、もうそれは諦めた。
ずっと一途なこの人を好きになったのだから。
私はこの人の傍にいて守れれば、支えられればいいと思った。
そうあの人が私の好きな人近藤勲さん。こう見えて真選組局長だったりする。すごい人なのだ。(たぶん)
そして私の好きな人には(まったく相手にされていないが)好きな人がいる。スナックすまいるで、働いているお妙さん。
私も年齢を偽ってバイトをしているので、私の姉貴分の様な人だ。
すまいるに入ったばかりの頃お妙さんのヘルプにつく事が多かったわたしはそれと同時に近藤さんと顔を合わせる事も多くなった。
最初は「この人すごくお妙さんのことが好きなんだなぁ」ぐらいにしか思っていなっかたけれど、見かけるたびにそんな一途な姿に惹かれていった。
そして・・・
「き、来てしまった。」
いまマコトがいるのは真選組屯所の門の前。
持っているのは前に近藤さんととっつぁんが来たときに忘れていったとっつぁんのサングラス。
そんなところに立っていたら隊士なら誰だって「どうしたんですか?」とこえを掛けたくなるだろう。
その立っているのが美少女ならなおさら。
「ど、どうしました?」
真撰組隊士山崎退も“隊士なら誰だって”のなかに入っていた。
「あの、近藤さんはいらしゃいますか?」
「きょっ、局長ですか?」
「はい、いらしゃいますか?」
「ちょっと、まっててくれますか?」
山崎は少し空気を吸ってから、
「局長ォォォォォォォォ!!」
かなりの声を張り上げ近藤を呼んだ。
ドタドタドタ
「どーしたんだ、ザキ」
近藤さんは驚いて急いで来たのか片方の草履しか履いていなっかた。
「きょっ、局長にお客さんが」
「そのくらいで叫ぶな!」
少し呆れたように言った近藤も後ろにいるマコトを見て状況が分かったようだった。
マコトはかなりの美少女である。
そんな子がゴリラ似の近藤さんを訪ねて来たから、驚いて叫んでしまったのだろう。
「マコトさん。まぁ、こんなとこで立ち話もなんですからあがって下さい。」
「はい・・・。あの、山崎さんどうもありがとうございました。」
「あっ、いえ」
マコトは、近藤と共に局長室に歩いていった。
その時の山崎のかおは途轍もなく赤かったという。