波の国前日
暗部服を纏うマコトは火影の部屋へと急ぐ
黒いネコの仮面に口元の緩みを隠しながら
「火影様何か御用でしょうか?」
「否な、今日ここに呼んだのはすぐにと言う訳ではないんじゃがちかじか・・・・・・。」
火影はそこで口ごもり、声をはっそうとしない
少しの沈黙のあと
「ちかじかナルト達七班には波の国へ言ってもらう事になったんじゃ。無いとは思うが、もしかしての可能性として、危険が無いとは言い切れん。
その話をお前にだけはしておかなければいけないと思ってな。どうする?」
火影は暗に(行かせるのならば、マコトが細心の注意を払いカカシのこともサポートしなくてはならない。)と言っているのだ
そしてその結果、ナルトにマコトが暗部であること、これまでにやってきた事などがばれてしまう可能性があると言う事ことでもある
そのリスクを理解したうえで、行くのか行かないのかを決めろと言っているのである
その質問にマコトは即答で答える
「行きます。ナル兄のためにもこの里以外の場所も見る必要があると思うし、注意とかカカシのサポートなんて苦でもなんでもない。
ナル兄は必ず守るから大丈夫。」
このとき火影の心の中では複雑な感情が入り混じっていた。
一つはマコトが幼少の酷い状況下で、ここまで立派に育った事
一つは強くなる過程で、沢山の命を摘み取る事に殆ど何も感情を出さなくなった事
それらの喜びや悲しみがせめぎ合う中で火影が出した答えがこれだった
ナルトと共に七班に所属する事で、マコトの足りない部分を補う事
波の国へ行く事で、人の命を摘み取らずに仕事をする普通の忍びなら、マコトのような暗部になる前にこなしている事を経験させる事
一番大切なのはこれ以上マコトにつらい思いをさせない事
マコトはまだ気がついていない
この任務にそんな火影の想いがある事に
マコトはまだ理解していない
この任務は火影がむける最大限のやさしさで出来ている事に