夢で逢えたら





さっきから晋作さんを探しているのに見つからない。
縁側、トイレ、みんなで集まる部屋…どこにもいない。普段は自室に籠もる事はないけど、一応確かめておこう。そう思って部屋に向かう。


襖の前まで来て声を掛けるけど、返事がない。恐る恐る開くと、そこにはやっぱり晋作さんがいなかった。

ふと目に入ったのはいつも三味線があるはずの場所に三味線がなかったこと。…そういえばまだ庭を見てない。そう思って晋作さんの部屋を出て草履をはいて庭に向かった。


庭にひとつある大きな木からオレンジ色の着物が見えた。



「晋作さん」



近付いて顔を覗き込むと晋作さんは規則正しい寝息を立てて眠っていた。

晋作さんの正面まで来てしゃがみ込む。整った顔立ち、晋作さんの睫毛が風で揺れる。無防備な寝顔を見ていると愛しさが込み上げて、すっと手を伸ばす。

もう少しで晋作さんの頬に触れるはずだった手は、晋作さんの腕に引っ張られた。



「わ…っ」

「…捕まえた」



バランスを崩したあたしは晋作さんの胸に飛び込んでいた。見上げると晋作さんは微笑んで口付けをひとつ落とした。



「起きてたの?」

「ああ、いつ見つけてくれるのかと思ったぞ!」



ニカッと笑った晋作さんは、くるりとあたしを回転させて後ろからぎゅっと抱き締めた。首筋に晋作さんの吐息がかかってくすぐったい。



「もう一度寝るぞ」

「あたしも?」

「当たり前だ!ばにらは俺の物だ!もう離さんからなっ」



腹に回した手をあたしの手に絡める。こんな体勢で、こんなに近くて眠れる訳ない、って思ったけど、晋作さんに包まれて自分でも吃驚する程落ち着く。

夢でも会えますように、起きた時1番に会えますように。

そう願って晋作さんの手を握り返し、ゆっくり瞼を閉じた。遠くでおやすみ、ばにらと晋作さんの声が聞こえた。




2011.03.17

相互感謝でいちごココアの
ばにらちゃんに捧げます!
とんでもなく遅くなって
申し訳ない限りです(;_;)
こんなもので良かったら
受け取ってね(>_<)
改めてこれからもこんな詩を
よろしくお願いします!

Hanauta* 詩より








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