君には適わない





しんどい…

最近は寺田屋のみんなも同盟だとか、大政奉還だとかで大忙し。色んな所に付いて行ったり、寺田屋のお掃除とかしてたら意外とハードで…だけど、みんなも頑張ってるから弱音は吐けない。

よし、頑張ろう!



「姉さん!」



1人で気合いを入れていると、後ろから走って来た慎ちゃんに声を掛けられた。

振り返ると、笑顔の慎ちゃんがいた。



「今から薩摩藩邸で会合なんスけど、寺田屋が留守になるので姉さんも同行願えますか?」

「うん、じゃあ急いで準備してくるね」

「急ぎじゃないんでゆっくりで良いっスよ」

「分かった」

「あっ、姉さん!」



部屋に戻ろうとしたあたしの腕を慎ちゃんに引かれ振り返ると、すぐそこに慎ちゃんの顔があった。



「えっ?」



びっくりして目をぎゅっと瞑ると、おでこにこつんと何かが当たった。目を開けると、やっぱりすぐそこには優しい笑顔があった。

目が合うとすぐに離れた慎ちゃんの顔は真っ赤だった。



「熱はないみたいっスけど…姉さん疲れた顔してますよ」



そう言われてさっきおでこに当たった物は慎ちゃんのおでこだと気付いた。目を逸らしながら話しているものの、声色は心配そのものだった。



「あんまり無理しないで下さいね」



慎ちゃんはぎゅっとあたしを抱き締めた。耳に吐息が掛かってくすぐったい。あたしはふふっと笑って慎ちゃんの胸に頭を預け背中に手を回した。



「大丈夫だよ。慎ちゃんの為だと思えば頑張れるから…」



慎ちゃんの体が緊張するのが分かった。だけど次第に慣れてきたのか、あたしの頭を撫でたりしてくれた。



「…翡翠さん」

「うん?」

「もし風邪ひいたら龍馬さん達じゃなくて俺に看病させて欲しいっス」

「うん…、お願い」

「約束っス」



慎ちゃんはあたしのおでこにちゅっとキスをひとつして、瞼に、頬に、とだんだんと唇に近付いた。唇に触れるか触れないかのところでそっと髪を撫でながら呟いた。



「他の人とはこんなふうに風邪が移るような事しないで下さいね」



2011.03.07

宵闇惑い月の翡翠さんに
相互感謝として贈ります!
遅くなってすみません…強がり姉さんに気付く!が
こんな事になりまして
申し訳ないです…!
こんなもので良ければ
もらってやって下さい!
これからもどうぞ
よろしくお願いします♪

Hanauta* 詩より





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