ヒーロー





「晋作さん、早くっ!」

「かえ、振り返って走るなっ!前見て歩け!」



今日は晋作さんと街にお出掛け。久しぶりにゆっくり出来るのに、好きな所に連れて行ってやる!って聞かないからおいしいお団子を食べに行く事になった。

久しぶりのお休みだからゆっくりして欲しい、という気持ちはあったけど、なかなか2人で過ごす時間がなくて寂しかったあたしはずっとはしゃいでいた。

いつもとは立場が逆みたい



「それにしても久しぶりだな、こうやってゆっくりかえと過ごすのは」

「うん!久しぶりに晋作さんと一緒にお出掛けできて嬉しい!」

「なんだ?今日はやけに積極的だな」



晋作さんはにやっと笑って肩を組みずいっと顔を近付けた。ん?と言って覗き込まれたあたしは顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。



「そんなことないもん」



お団子屋さんはもうすぐそこの曲がり角を曲がった所だったので、晋作さんの腕をすり抜けて走り出した。



「あっ、こらっ!」



晋作さんが怒る声を背中に、角を曲がった時だった。

ドンッと何かにぶつかり後ろに跳ね返された。尻餅をつくと思った瞬間、後ろから追いかけて来た晋作さんにふわっと抱き止められた。



「大丈夫か?」

「う、うん」



後ろから抱き止められているので、晋作さんの低い声が耳元で響く。晋作さんに支えられ立て立ち上がる。
だけど、見上げると片手にお酒を持ったおじさんが鋭い目つきで見下ろしていた。腰にさしてあった刀を抜き、じりじりと近寄って来る。



「姉ちゃん、痛いやないか。どこ見て歩いとんねん、ん?」

「す、すみません…」

「ワシはのぅ、酒呑んでええ気分やったんや…。すみませんやあらへんで」



ぎらりと気味悪く光る刀があたしを目掛けて振り下ろされる…、あたしがぎゅっと目を瞑った瞬間、聞こえてきたのは…


キンッ

ガッ



「…ぐっ」

「…大丈夫か?かえ」

「…うん」



目を開くと目の前に晋作さんがいて、刀を鞘にしまうところだった。晋作さんの足元にはさっきの酔ったおじさんと刀が倒れていた。



「峰打ちだ。気絶してるだけだから安心しろ」

「う、うん…」

「まったく、お前からは目が離せん」



ほら、と言って晋作さんはあたしの手をとり握った。

頼もしい晋作さんの背中を見つめついていく。やっぱり晋作さんはいつもあたしの事を助けてくれるヒーローだ。



「もう俺から離れるなよ」



晋作さんは前を向きながらぽつりと呟いたけどあたしは聞き逃さなかった。晋作さんを見上げると耳まで真っ赤だった。

あたしはうん、と返事をして手を握り返した。



2011.03.02

相互記念でいろはの
かえ様へ贈ります!
遅くなってすみません…!
頼りになる晋作さん
というかえさんのリクで
書いてみましたが…
どうでしょう…!
期待に応えられたかな…?
こんなあたしですが
これからもよろしくです(^^)

Hanauta* 詩







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