ついのこの間、ほころび始めたとおもった藩邸の梅の花も気がつけば満開になっている。
芳しい香りが風に吹かれて、そよそよとやってくる。
梅の花ってこんなに香るものだったのか・・・・
桜のようにはらはらと散ることもなく、その存在を誇るかのように香りを放つ。
昼の間よりも日が落ちて、あたりが暗くなるほど梅の香りは強く強く主張してくる。

元いた時代のころは、梅の花がこんなによい香りがして、こんなに可憐な花だったなんて知らなかった。
花といえば、桜の花。それもお花見そんな感覚でしか捉えてなかったっと思う。


梅・・・
晋作さんが大好きだという花。
それを聞いてから、さらに興味を持ったような気がする。
ほかに晋作さんが好きなものってなんだろう。
すきなことって何だろう・・・
気がつけば晋作さんのことばかり考えているような気がする。


縁側で梅の花を眺めながらそんなことを考えていた。

「詩・・・どうした?
 そんなところで」

気がつくと、晋作さんが横に座って囁いた。

「・・・・」

梅の花を見ながら晋作さんのことを考えてたなんていえない!!
しかも、晋作さんが声をかけるまで気づかなかったなんて!
自分にびっくりしてしまう。

「晋作さん、梅の花好きなんでしょ?
 どうして好きなの?」

「そうだな、吾ここにあり!といわんばかりに香るだろ?
 その主張が気に入ってる!
 その癖、可憐でかわいい花をさかせると思わないか?
 桜の花は確かに綺麗だが、香りがない。
 いにしえの昔は花見といえば桜ではなく梅だったんだ。」 

“吾ここにあり!”かぁ・・・
確かに晋作さんそのものだな・・・

「詩、たしかに梅の花は可憐でかわいらしいが、
 一番、可憐でかわいらしいのは
 詩、お前だぞ
 梅の花より、俺は詩のことが好きだぞ・・・」

その一言で、私の顔が真っ赤になるのがわかる。
庭の紅梅よりも赤いかも・・・
どうして、照れることなく堂々とこんなことが言えるんだろう。

私は、なんて答えればいいのかわからず
庭の梅の花のほうを見つめるしかなかった。

「詩、いやじゃないんだろ?」

いやな訳ない。だって、私・・・
晋作さんのことばかり考えてる・・・・

「詩、何とか言え!」

晋作さんのこと好き・・・・っと喉元まで言葉が来ているのに、口から出てこない。

「詩、いやじゃないんだな?好きだと思っていいんだな?」

私は庭の梅を見つめたまま黙って頷く。

横から、晋作さんの手の平が私の頭の上に乗せられて撫でられる。
なんて暖かな大きな手だろう。
その手が、肩へ下がったと思ったとたん、そのまま晋作さんの方へ引き寄せられる。
晋作さんの肩に私の頭が乗る。
ぴったりと引っ付いて二人がひとつとなる。
二人の目線は平行で庭の梅の方を向いたまま。
そのまま晋作さんが優しく囁く。

「詩、好きだぞ。
 なにも心配するな。
 いつも俺がついている。」
 
次の瞬間、
晋作さんの顔が私の顔を覗き込むように私の目の前に現れ、晋作さんの左手が私の右肩を引き寄せる。

「お前は俺だけを見ていればいい。」

じっと私の瞳を凝視する。
私は視線を逸らすこともできずに、晋作さんの瞳に移る私の顔を見る。

ますます晋作さんの顔が近くなる。
近くなりすぎて、思わず瞳を閉じる。
その瞬間、晋作さんを唇で感じる。
夜風にあたり、ちょっと冷たくなった唇と唇。
重なりあううちに、だんだんと暖かくなる。

「詩、お前がほしい・・・」

私の肩を引き寄せていた晋作さんの手のひらが、私の頬へ。
さらに二人の距離が近まる。

「詩、こんなに頬が冷たくなって・・・
 すまん・・・
 寒いだろ?」
晋作さんがぎゅうっと私を抱きしめる。
そのまま、晋作さんに肩を抱かれながら、障子の内側へ導かれる。

梅の花の香りが二人を包んだまま・・・
春が近づいたある日の夜・・・
私と晋作さんの距離もすごく近まった夜のこと・・・



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Hanauta* 詩様へ

相互記念♪

詩さまのかわいらしい小娘と
かっこいい晋作さんの甘いお話大好きです♪

勝手に押し付けですが、よかったらもらってやってください。

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AMYさぁぁあぁあぁん!!嬉しすぎます、ニヤニヤ(^p^)ありがとうございます!なんですかこのサプライズ!拍手見てニヤニヤですお…!しかもこのかっちょいい晋作…まじやばいですって!!(笑)いつでも晋作の事を考えている詩ですww本当にありがとうございます!おいしく頂きました!!

そんなAMYさんのサイト
Cream Tea

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