教えてくださいね


 エランさんは優しい。一人で泣いていた時ご飯を届けにきてくれた。わたしのことを知りたいと言ってくれた。寮に来ないかと誘ってくれた。あげたらあげたらキリがない。鬱陶しいと言いながら跳ね除けたりせず真っ向から向き合ってくれた。
 ーーーだから、わたしも知りたかった。知れると思っていた。だけどあの日エランさんは結局来なかった。きっと何か用事があった。エランさんは約束を忘れる人じゃない。大丈夫。

 パーティの時やっと会えたエランさんは少し違った。前よりも笑うようになって、変わらず手を差し伸べてくれた。ペイル社の用事で来れなかったと言うエランさんはちょっぴり知らない人みたいだった。でも前より表情が多くて安心した。

 ミオリネさんはこのキーホルダーにどんな反応をしてくれるだろうか。喜んでくれるだろうか。反応を想像するだけでほっぺがゆるんでしまう。そんな時木陰から話しかけられた。聞き慣れた声。少しだけ心臓が早まる。この時会えたエランさんはもっともっと知らない人みたいだった。すごく積極的で…なんだか怖かった。

 エランさんは初恋だった。たぶん。わたしのはつこい。わたしとおんなじようにガンダムに乗る人。わたしと同じ人。誕生日をお祝いしたかった。もっと話したかった。わたしがもっともっと勉強して、時間を作れたらまた会えるだろうか。きらきらのイエローグリーンの髪。氷のように冷ややかででも優しい瞳。白のタッセルが揺れる紫のピアス。
 思い出せば頬があたたかくなる。心がどきどきする。大事な思い出。大切な花嫁さんにも言えない。誰にも、いえない。エアリアルだけにはこっそりと教えたわたしの大切なきもち。
 会えるかなあ。また。会えたら今度こそ始めからやり直すんだ。やりたいことリスト応援してもらったから。

「エランさん、こんどあえたらエランさんのこと」

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