リトル・プリンセス・マーキュリー


 今日は特にすることもないらしく、いつものようにスレッタはエアリアルのコクピットにやってきた。
 警報が鳴れば出なくてはいけないときもあるだろうが、今日は作業が休みのはず。よっぽどのことがない限り頼られることもない。寝起きでくしゃくしゃの髪をそのままに櫛や毛布、ぬいぐるみを抱きしめたままライブラリを眺めている。
 ようやっとお気に召すアニメを見つけたらしく慣れた手つきで再生し始めた。それは塔の中に住んでいるお姫様が退屈な日々を毎日楽しくしようとするお伽噺らしい。髪を櫛で梳かしながら鼻歌をご機嫌に歌う。

「ね、エアリアル」

ーーなあに?スレッタ

「わたしもお姫さまみたいになれるかな」

ーーなれるよ。君はかわいくて頑張り屋さんだからきっとみんな見惚れちゃうかも。

 ちかちかとモニタを明るく点滅させて同意を示す。
 ふふふ、と嬉しそうに笑ったスレッタ。

「そしたらエアリアルも一緒ね。わたしがエアリアルに乗ってみんなを助けるお姫さまになるの!」

ーーお姫様なんだからお仕事はしなくていいのに、とは思ったけれどスレッタがやりたいことなら僕も一緒にやるよ。僕たちは2人そろえば最強なんだから。

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